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Qlik、5年で国内事業の売上高2倍へ BookLiveはQlik活用し「異世界コンプリートマップ」展開

 クリックテック・ジャパンは2026年9月18日、2027年事業戦略説明会を開催。説明会では、生成AI市場における同社の位置付けと日本市場における中長期的な成長戦略が提示された。また、ユーザー企業として総合電子書籍ストアを運営するBookLiveが登壇し、データ基盤と分析ツールを活用した顧客コミュニケーションの高度化事例を紹介した。

(左上から)クリックテック・ジャパン株式会社 執行役員社長 今野芳弘氏

株式会社BookLive マーケティング本部 SoE&データサイエンス部 部長 横井孝典氏
クリックテック・ジャパン株式会社 執行役員ソリューション技術本部長 濱野正樹氏
株式会社BookLive 執行役員 マーケティング本部長 福田晃仁氏

 説明会冒頭、クリックテック・ジャパン 執行役員社長の今野芳弘氏は、2026年6月の就任以降の市場認識と自社のビジョンについて説明。今野氏は、企業におけるAI導入の意欲が97%に達する一方で、実際の運用・実装に至っている割合は18%、スケールまで達成している企業はわずか2%にとどまっているという調査データを提示した。この実装ギャップの主因はAI技術そのものではなく、データの品質、アクセス性、ガバナンス、既存システムとの統合といったデータ基盤の課題にある。

 同社はこの課題に対し、データ統合とデータ分析を融合させ、データをAIの原動力へと変換するコンセプト「Agentic Intelligence(エージェンティック・インテリジェンス)」を掲げている。今野氏は、過去3年間で3倍以上の成長を記録したSaaSソリューションとデータ統合──特にリアルタイムCDC(Change Data Capture:変更データキャプチャー)の2つのエンジンを主軸とし、国内事業全体の売上高を5年間で2倍に成長させる目標を語った。

 さらに、重点施策として全製品へのAI機能組み込みによる「AIエージェント対応の強化」、新規獲得と既存顧客のSaaS移行を両立させる「アナリティクスSaaS成長加速」、金融や公共分野などで根強いオンプレミス需要の取り込みを含めた「データ統合の強化」の3本柱を挙げる。また、日本市場における拡大にはパートナーエコシステムが不可欠であるとし、製造・金融・SMB領域に強みを持つリセールパートナーの開拓や、AWSなどの主要クラウドベンダーとの技術連携を強化する考えを示した。

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 続いて登壇した執行役員 ソリューション技術本部長の濱野正樹氏は、自社製品および技術戦略の詳細について解説。同氏は、企業がAIを導入する際の障壁としてハルシネーションやデータの不整合を挙げ、信頼性の高いAI出力を得るためにはデータ基盤の整備が最優先課題だと訴えた。同社のプラットフォームは、400種以上のデータソースからリアルタイムにデータを収集し、ソースシステムへの負荷を最小限に抑えつつクラウドデータウェアハウスへ連携する。さらに、共通フォーマットであるApache Icebergへの対応を通じて、オープンなデータレイクハウス環境の構築を支援するという。

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 データ品質の向上においては、データパイプラインの構築から品質ルールの適用、多角的な視点での問題検知までをAIで支援する仕組みを提供する。加えて、単にデータを集めるだけでなく、ビジネスコンテキストやデータ間のリレーションシップを定義する「セマンティックデータモデル」を構築することで、AIがビジネスの意味合いを正確に理解して回答できる環境を整える。

 「オープンな設計とMCP(Model Context Protocol)などの標準プロトコルへの対応により、ユーザーはChatGPTやClaude、Copilotといった任意の生成AIツールから、QlikのセマンティックモデルやAIエージェントを介して社内データ資産を安全かつ効果的に活用できます」(濱野氏)

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 後半の顧客事例セッションでは、BookLiveの執行役員マーケティング本部長である福田晃仁氏と、マーケティング本部SoE & データサイエンス部部長の横井孝典氏が登壇。総合電子書籍ストア「ブックライブ」を展開する同社は、1500万人以上の利用者と200万冊を超える取扱書籍数を誇る。横井氏は、膨大な行動ログが存在する中で、従来のRFM分析(最終購入日、頻度、購入額による顧客分類)だけでは「どのような読者がどれくらい存在し、どういった購買心理で行動しているのか」という詳細なペルソナやコンテキストを把握しきれなかったと明かした。

 この課題を解決するため、同社はSnowflake上に集約したファーストパーティデータ(CDP)とQlikを組み合わせた分析基盤を構築した。短期間かつ低予算で導入された上記システムにより、マーケターやアナリストが試行錯誤を繰り返しながら読者の行動特性を探索できる環境が実現。分析の結果、「異世界男性向けマンガ」に特化して多数の作品を収集する読者層や、女性でありながら少年・青年マンガを中心に購読する「男ウーマン」層、BL(ボーイズラブ)作品の傾向の違いなど、従来の属性分類では見えなかった多様な顧客群を特定することに成功した。

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 横井氏は、この分析から得られた知見をマーケティング施策に直接展開した事例として「異世界コンプリートマップ」施策を紹介した。異世界マンガの購入者に収集傾向やコレクター気質が高いことをQlikのデータ分析から見出し、作品の所有数に応じて称号やレベルを付与するゲーム性を取り入れた特設ページを開設したというものだ。この施策により、ユーザーの来店頻度や購入促進が図られ、該当ジャンルの売上向上という具体的な成果につながった。

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 さらに同社では、分析結果をマーケティング部門内に閉じることなく、オフィス内の主要導線に大型ディスプレイを設置して事業データやランキングを共有する「社内サイネージ」を導入。Qlikのレクチャーやコーチングを継続的に実施することで、全社的なデータ活用文化の醸成(データの民主化)を推進している。

 最後に横井氏は今後の期待として、「これまでベテランのノウハウや勘に頼っていた『ここを突けば顧客が動く』という感覚を、Qlikの連想エンジンとAIを組み合わることで誰でも再現できるようにしたい」と語った。

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奥谷 笑子(編集部)(オクヤ エコ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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