今回の結果をガートナージャパンは、今後、より多くのサービスや機能を外部に委託しようと考える企業が大半を占めるという見方もできる一方で、それほど単純な見方はできないとし、次のように考察している。
現状では、コスト削減のために本来自社のリソースで実施できる、あるいは実施すべき内容の作業さえ外部に委託する、という企業も少なくない。そのため、スキルやノウハウが外に出て行ってしまい、IT部門という組織の「存在意義」が問われている企業も存在しているという。
トップの回答として挙げられた「アウトソースとインソースを明確化する」とは、アウトソースすべきサービス/機能と、インソースで実行すべきサービス/機能を明確に切り分け、自社で実行すべきものはインソースに戻すという策も含めて、企業がビジネスを遂行する上で最も効率的かつ効果的なソーシング戦略を持ちたいという表れともみることができるとしている。
一方で、「ベンダーへの依存度がより大きくなる」を選択したITリーダーが多いことは、4番目の「インフラは主にクラウド・ベンダーに委託」という回答にも影響していると指摘。インフラストラクチャ・テクノロジの知識においては、それらを設計・開発したベンダーが優位にあるのは明らかであり、インフラはベンダーに任せ、企業のビジネスをサポートするアプリケーション開発はできるだけ自社内で実行しようと考えている企業も少なくないと、同社は分析している。
また、3番目の「IT部門と利用部門を橋渡しする人材の登場」や5番目の「経営企画部門にIT部門が組み込まれる」からは、IT部門という組織にメスを入れようとしている企業が多いことも見て取れるという。
ガートナーのリサーチ ディレクター片山博之氏は、今回の調査結果に関し、次のようなコメントを寄せている。
「ガートナーが直接接する多くのIT部門の方々も、既存の体制がベストとは考えておらず、IT部門の組織としての価値をどのように高めるべきか、試行錯誤しています。今回の回答結果はこれを裏付けるものでもあり、IT部門単独ではなく、経営企画部門/利用部門などの他部門、そして外部ITベンダーの3者がそれぞれの強みを生かしたエコシステムを活用することが、IT部門の価値を最大化する方法と考えています」
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