モビリティソリューションに対する投資を主導する部署は、本社部門や経営/管理部門が最も多く(35.0%)、次いでIT部門(25.1%)であることがわかった。
一般にPCなどの機器の導入はIT部門が主導することが多いが、企業の中ではモビリティソリューションは新たな市場分野であり、本社部門や経営/管理部門を中心に運用ルールを定めながら導入することが求められるためと考えられる。
モビリティソリューションの導入目的は、「生産性の向上」(50.1%)を挙げる企業が中心。生産性を向上させるためには、「販売や売上額の増加」や「カスタマーサービスの改善」などの「売上拡大」を志向するための細分化された目標設定と、「コスト削減」や「ペーパーワークの削減」などの「工数/業務効率改善」を志向するための細分化された目標設定の具体的な施策への落とし込みが必要となる。
しかしながら、モビリティソリューション導入目的で「売上拡大」を細分化した「販売や売上額の増加」の回答率は約23%、「カスタマーサービスの改善」は約12%と低い回答率となり、また「工数/業務効率改善」を細分化した目標の項目も同様に低い回答率にとどまった。モビリティソリューション導入にあたり、具体的な目標設定がされている企業が少ないことがわかった。
モビリティソリューション導入済み企業での同ソリューション投資に対する評価は、約57%の企業は「会社上層部の期待に沿っている」と回答し、導入に成功していると言える。
また、タブレットとスマートフォンの社内導入率別にモビリティソリューション導入効果の評価を比較すると、それぞれの機器の導入率が40%以上の企業では、タブレットで「上層部期待に沿っている」の回答率がスマートフォンを上回る傾向を見ることができる。
これは、モバイル機器の社内導入率が上昇することで、業務アプリケーションなどへの展開が進み、より大画面のタブレットで導入効果が出やすくなっているためと考えられる。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は、「モビリティソリューションでは効果測定が十分にされないために、継続的な導入が進みにくい傾向が見られる。効果測定が十分にされていない1つの理由は、導入段階で導入目的を十分に細分化できていないことにあると考えられる」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「2015年 国内モバイル/クライアントコンピューティング市場 モビリティソ リューションの導入意欲と導入ポイント」にまとめられている。