大企業を中心に外部DC/オンプレミスの最適な組合せを模索する動きがある
今回の調査によると、外部データセンターサービスの利用は大企業が中心で、中小企業への普及は進んでいないことがわかった。ただし、大企業ではすでに外部データセンターサービスをまったく利用していないというところは少ないものの、社内におけるシェア拡大の余地はまだ残っており、案件の規模も大きくなる傾向があることから、これが市場にプラスの影響を与え、その成長を加速させるとみられる。
将来的には、中小企業も含めて外部データセンターサービスの利用は拡大傾向にあるすが、その一方で、外部データセンターで稼働させていたアプリケーションをオンプレミスに移行するというケースも見られる。大企業を中心に、IT環境の最適化を目指して外部データセンターとオンプレミスの適切な組み合わせを模索する動きがあると考えられる。
利用中のクラウドサービスの構成比は従業員規模が大きくなるほど均等化する傾向
また、クラウドに着目して、現在利用中のクラウドサービス、すなわちパブリッククラウド、プライベートクラウド(オンプレミス型)、プライベートクラウド(ホステッド型)の構成比を見ると、従業員規模が大きくなるにつれてプライベートクラウド(オンプレミス型)の比率が上昇しており、結果として各サービスの間の差が小さくなり、構成比が均等化する傾向が見られる。大企業では、より柔軟かつ独自のインフラ構築/運用を求め、オンプレミス型を好む傾向があるとみられる。
データセンターサービス市場は、今後もしばらくは拡大が続くとIDCではみている。しかし、特に大企業を中心に、外部データセンターとオンプレミスとの組み合わせ方、クラウドサービスの使い分け、データセンターの設置場所なども含め、社内IT環境の最適化に向けた模索も続けられており、データセンターサービス事業者側でもそれを無視できなくなりつつある。
IDC Japan ITサービスのシニアマーケットアナリストの吉井誠一郎氏は「データセンターサービス事業者には、コンサルティングなどによって企業ごとに異なるIT環境の最適化をサポートしていくことが求められるであろう」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「2017年 国内データセンターサービスユーザー調査」に掲載されている。レポートでは、データセンターサービスの利用状況、利用中のデータセンターサービス事業者、クラウド型と非クラウド型データセンターサービスの利用状況、データセンターの立地条件などについての調査結果をまとめている。