変革するテラデータのビジネスのさらなる拡大に貢献できると判断
高橋氏はなぜテラデータの社長を引き受けたのか。
「テラデータは今、ハードウェアの売り切りのビジネスからからサブスクリプション型へ移行する段階にあり、私のIBM、レッドハットの経験で貢献できると思いました。またサービス、コンサルティングでソリューションを提案するビジネスにも大きくシフトしており、ここでも私のさまざまな経験が生かると考えました。顧客の『良いものを自分たちで選んで使いたい』という要望にテラデータが十分に応えられる立場にあったから」(高橋氏)
テラデータには「Teradata Everywhere」という新たな戦略がある。これはテラデータのハードウェアが前提ではなく、さまざまなクラウドプラットフォーム、あるいはテラデータ以外のハードウェアの上で、テラデータのソフトウェアを使ったデータ分析を提案できるものだ。
さらにさまざまなプラットフォームでテラデータのソリューションを使ってもらいやすくする、柔軟でポータビリティ性の高いライセンスの用意もある。これらで、テラデータの製品だけを提案するのではなく、顧客に選択肢を提供できると高橋氏は考えた。
とはいえ一方で、テラデータは業界でも最も高いハードウェアを売ってるイメージもあったと高橋氏は明かす。今後はそのイメージを払拭するのも自分の重要な仕事だと語る。
上流からのコンサルティングサービスが順調に拡大
高橋氏は4ヶ月ほどテラデータの仕事を経験し、グローバルの中で日本法人が置かれている状況はユニークだと感じたという。テラデータでは市場的に最も大きな「アメリカズ」以外は、「インターナショナルリージョン」と呼び1つのエリアとして捉えている。日本もその中の1つであり、欧州などの国々とも同じ組織になり、彼らとも日常的に交流がある。
多くの外資系日本法人では、アジア・パシフィック地域の1つの国と位置づけられている。アジア諸国と日本はIT市場の環境が異なり、往々にしてビジネスの情報がかみ合わないことがある。このギャップを埋めて会議をするなどはかなり手間のかかる無駄な時間だと感じることも多い。
テラデータの場合は、むしろ日本と市場状況が似ているヨーロッパ諸国と交流しやすい。ヨーロッパでの先進的な事例、たとえばデンマークのダンスケバンクでAIを活用して不正検知を行い成功したといった話題が、日常的に日本法人にも入ってくる。こういったものは、日本のビジネスを拡大するのにもかなり有効なものになっているとのことだ。
テラデータは1979年に設立され、一貫してデータを活用するソリューションを提供している。途中、NCRに買収されたが、2007年に再びNCRから独立し、そこから10年が経過した。NCRから独立以降、テラデータはたくさんの企業を買収している。これらの買収は、顧客にソリューションとしての提案を一気通貫にできるようにする買収だ。
買収の効果もありテラデータのビジネスは、ハードウェアの箱売りから順調にシフトしている。ソフトウェアを中心としたサブスクリプション型になっており、さらに買収したThink Bigを核としたコンサルティングの事業も順調に拡大している。これらの効果で昨年の業績はかなり好調だ。
「金融や自動車業界でビジネスは増えています。ここでは新規顧客が獲れています。上流工程でビジネス部門の人と会いデータを使って課題をどう解決していくかの、ビジネスアナリティクスのコンサル部門のビジネスが大きく伸びています。上流のところのビジネスが伸びるのは、良い傾向だと思っています」(高橋氏)
多くの企業においてデータが大事なことは理解されているが、まだまだ活用しきれていない現状がある。それに対しテラデータには、すでに1,000以上の公開事例がある。しかし、これらテラデータを使ったデータ活用の成功事例を、顧客に対し説明しきれていないと高橋氏。そのため、事例を顧客に伝えるところはもっと広く展開したいという。
ビジネスを伸ばしている金融分野においても変化を感じている。銀行が他行のIT活用のことだけを気にするのではなく、業界の異なる小売業などが顧客をどうマネージメントしているかなど、幅広くITの活用に対し興味を持っているのだ。業界を超えデータをどう活用すればどんな変革が訪れるか、それを考えるようになっているわけだ。
「昔は、海外事例の話は興味がないイメージもがありましたが、世界の良い事例あればどんどん訊きたいという変化もあります。グローバルにビジネスを展開しているテラデータなら、そういったニーズにも貢献できるでしょう」(高橋氏)