企業における従業員エンゲージメントが重要に
人材不足で、思うような人材を確保できないのが企業の課題となっている。なんとかして新たな人材を確保するのも重要だが、既存の人材をしっかり確保し最大限の生産性を発揮してもらう。そのために企業には、従業員とのエンゲージメントが重要になると語るのは、セールスフォース・ドットコム プロダクトマーケティング シニアマネージャーの伊藤哲志氏だ。
顧客が商品やサービスを買う際には製品の性能やサービス内容だけでなく、結局はそれを勧めてくれる「人」から買う。多くの場合、売ってくれる人の対応が良ければそれを選ぶことになる。どうすれば売る人の対応は良くなるのか。それには従業員がサービスや製品に対する思い入れがあることが重要となる。この思い入れ部分を高めるのが、企業と従業員のエンゲージメントだ。従業員のエンゲージメントを高めることは、働き手を確保するだけでなく、間接的には売り上げ向上にもつながっていく。
現状の働き方改革では、就業時間を短くすることやリモートワークなどの多様な働き方に注目が集まるが「従業員エンゲージメントが、本来の働き方改革の本質ではと考えます」と伊藤氏は言う。
組織人事コンサルティング会社のリンクアンドモチベーション 執行役員 麻野耕司氏は、企業は今、2つの市場から選ばれなければならないと指摘する。まずは商品市場で顧客から選ばれること。そのために必要になっているのがソフト化だ。ビジネスがさまざまな面がソフト化している。それにより顧客に選ばれる柔軟なサービスなりが生み出せる。かつてのハードウェアの時代には、良い商品を作るためには工場などの設備が必要だった。そのため企業は、設備に対し大きな投資をしてきた。
「今はそれが変わってきています。商品やサービスを作るのに必要なのは、人材だと言われています。そのため企業にとっては、労働市場で人材から選ばれることが重要となっています」(麻野氏)
その上で人材の流動化も始まっている。かつては「ほっておいても人材は企業にとどまっていました。しかし労働市場が流動化しています。企業は常に魅力を提供しないと人材は離れてしまいます」と麻野氏。今後はさらなる少子化の影響も出てくる。なので、これまで以上に労働市場で選ばれることは、企業にとっては難易度が高まっているのだ。