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Oracleとの統合でグローバリゼーションが加速―創業者に訊く、NetSuiteの現在地

 NetSuiteの創業者でもあり、現在はOracle NetSuiteの製品開発担当のエグゼクティブ・バイスプレジデントのエバン・ゴールデンバーグ氏。彼は現在もNetSuiteの製品の方向性を決め、開発の指揮を執っている。今回のSuiteWorldでも、数々の新機能が発表されている。新たに提供する機能の位置づけや、その価値について話を訊いた。

NetSuiteでは製品の裏側でERPをより便利に使えるようにAIを使う

 NetSuiteの創業者でもあり、現在はOracle NetSuiteの製品開発担当のエグゼクティブ・バイスプレジデントを勤めるエバン・ゴールデンバーグ氏
エバン・ゴールデンバーグ氏
Q:AI、機械学習機能となるIntelligentSuiteが発表されました。この機能の現状のステータスを教えてください。またIBMなど他のベンダーもAIや機械学習に力を入れていますが、NetSuiteがAIで目指しているものは何でしょうか?

「今回見てもらったのは、AIの機能を直接的にビジネスに適用できる部分です。NetSuiteでは、汎用的なAIや機械学習の機能を提供するわけではありません。NetSuiteを使う中でAIや機械学習を活用するものを提供します。ビジネスの中で実践的なユースケースでAIを利用します。
 ですので、IntelligentSuiteという新たな製品が出るのではなく、今後提供されるNetSuiteの全てのリリースにAIが入ってきます。年間2回のリールースそれぞれに、機械学習などを活用した機能が入ってくるので、新しいリリースを使ってもらえばその違いが分かるはずです」。

Q:基調講演のデモでは、コマースサイトで表示する商品のリコメンドのところで機械学習技術を利用している様子が示されました。リコメンドなどはAmazonのコマースサイトでも提供されていますが、そういったものとの違いはありますか?

「あらゆる国で、小売りにおけるAmazonの影響は大きくなっています。とはいえ、Amazonが小売業の全てのニーズを満たすわけではないでしょう。直接的に顧客にアプローチをしたい企業もあります。アパレル業界などはユーザー体験を大事にしており、Amazonでは自社のコマースサイトよりも良い顧客体験を提供できません。そういった企業では、自社サイトでの独自のリコメンドの仕組みが必要になります。
 Amazonなどではリコメンドのところにかなりの投資をしていますが、それでも間違っていることも多々あります。そういった結果も確認して学習することで、より正確なリコメンドをしたい。そうすることで、自社のコマースサイトに顧客が戻ってきて欲しいのです。
 もう1つ、BtoBでもAmazonが提供しているような顧客体験が求められています。NetSuiteのコマースの顧客もBtoBでの利用が増えており、彼らがリコメンドを利用できる機能がNetSuiteには揃っています」。

Q:昨今、AIや機械学習を活用する際の倫理の問題や、機械学習などで利用するデータ流用に対する懸念が出ています。NetSuiteではAIを活用する際のポリシーのようなものはありますか?

「機械学習を活用する際には、大きく2つの利用形態があります。1つは企業の中に閉じた形で利用するもの。もう1つが会社間をまたがってデータを活用するものです。たとえば、NetSuiteの顧客の中でコマースを利用している顧客や複数の国でNetSuiteを利用している顧客のほうが、そうでない顧客より成長が早いとの結果があります。これは、データを複数の会社間で横断して利用しなければ分からない知見です。一方で、1つの会社の中だけでデータを使っても得られる知見もあります。
 これら2つのAIの利用では、それぞれに問題も異なるでしょう。AIを活用する上でのルールは、今後米国でも新しいものが出てくるでしょう。NetSuiteとしては、そういったルールに従ってデータを活用することになります。社会の方針には、きちんと沿ってやっていきます。
 すでにNetSuiteには、世界の4万社のデータがあります。これらの企業の取り引き情報などは、匿名化してあれば横断して分析に利用できると考えています。とはいえ、オプトイン方式で企業から匿名化してデータを使うことの承認を得てからになります。さらに、そのデータを使い分析して得られた知見は、データを提供してくれた企業にきちんと返すことも必要です」。

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NetSuiteのコアは、シームレスなシングルシステムで全てのビジネスプロセスが回せること

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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