2018年5月8日、SAPは世界で5番目となる「SAP Leonardo Center Singapore」を開設した。今回のLeonardo Centerの開設は、アジア太平洋地域及び日本(APJ)にある3つのイノベーションセンターと4つのSAP Labsに新たに追加されるもので、これらによりSAPにおけるデジタル変革のソリューションの拡大を目指すことになる。
デジタル変革を顧客やパートナーと共にエコシステムで実現させる場所
SAP Leonardo Center Singaporeの開設に合わせ、現地シンガポールではプレス、アナリスト向けにラウンチイベントが開催された。基調講演に登壇したSAP Asia Pacific Japanのプレジデント スコット・ラッセル氏は、SAP Leonardo Center Singaporeで顧客のデジタル変革をさらに支援できると語る。

「SAP Leonardo Center Singaporeは、APJ地域の顧客のデジタル変革を拡大するためのセンターです。顧客はもちろん、パートナーや研究機関なども集う場となります。我々は、デジタル変革に必要なもの全てをここに集めます。それらを使い、どうすればデジタル変革ができるかを顧客に提案します」(ラッセル氏)
Leonardo Centerでは、ベンダーであるSAPが顧客に対し一方的に製品やソリューションを提案するわけではない。テクノロジーパートナーやソリューションプロバイダーも含め、顧客と共にさまざまなアイデアを出し合いながらデジタル変革を進めることになる。参加する人たち全てによる、エコシステムの形デジタル変革を目指すのだ。
このLeonardo Centerは、既にシンガポール以外にも4つの拠点がある。それぞれをネットワークして活用できるのも特長だ。アジア地域にはインドにもLeonardo Centerがあり、当然ながらシンガポールのセンターはこことも連携していく。SAPではLeonardo Centerで顧客のデジタル変革を支援するだけでなく、多くの学生たちにLeonardoのさまざまな技術を学んでもらうために、大学とのアライアンスプログラムも実施している。既にAPJの地域で170万人もの学生がこのプログラムで新しい技術を学んでいる。「SAPにとって学生たちに教育することは、デジタル変革において後々大きなメリットになると考えています」とラッセル氏。
既にAPJの地域において、SAPが顧客のデジタル変革を支援した事例がある。大きな地震災害を経験した日本の事例として紹介されたのは、白山工業とのパートナーシップで実現しているスマートフォンを地震計にする取り組みだ。これは個人が所有するスマートフォンを地震計にするものだ。それにより、人々が働くビル内などでも地震の震度を測れるようになる。街中のきめ細かいレベルで震度を把握することで、個々のビル単位などで危険を予測し、そこで働く従業員などの適切な避難指示ができるようにするのだ。
もう1つドイツにおけるデジタル変革の1つとして紹介されたのが、スマート車椅子の事例だ。これはLife & Mobility社とSAPの協業で実現したものだ。車椅子に圧力や温度などさまざまなセンサーを付け、1日に40万ものデータを収集する。収集したデータを分析し、得られた知見から車椅子の利用者の体験を向上させる取り組みだ。このスマート車椅子の取り組みを応用すれば、オフィスなどで長時間座っている人の体験を向上させることも可能だろう。さらにはトラック輸送などで長距離を長時間運転するドライバーの体験を向上することにも応用できる。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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