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SAP 2025年「サポート終了」問題を前にすべきことは何か――インフォシス日本代表 大西俊介氏に訊く

 SAP ERPを使うユーザーに「2025年問題」が迫っている。SAPは第4世代のERP製品としてSAP S/4HANAを発表するとともに、SAP ERP(SAP ECC 6.0)の標準サポートを2025年までとした。言い換えれば、SAP ERPユーザーは2025年までにSAP S/4HANAに移るか、何らかの決断をする必要がある。「まだ7年ある」と思えてしまうが、実情はどうなのか。SAP ERPに詳しいインフォシスリミテッド日本代表 大西俊介氏にこの「2025年問題」について聞いた。

2025年に標準サポートが終わるということは何を意味するか

 「2025年にハードシャットダウンが起きるかは疑問です。すでに日本国内に2000社ほどの導入がありますから」

 のっけに大西氏はこう切り出して疑問を呈した。「標準サポートは2025年まで」というのはSAPが発表したので、動かさざるをえない事実だ。ただし、標準サポートが終了するからといって、全くサポートが受けられないという状況は考えにくい。

 大西氏が指摘するように、日本国内では2000社ほどの企業がSAP ERPを運用している。ERPはあってもなくても問題ないような軽いシステムではない。会計、人事、物流などを包括した、企業のビジネスを支える重要な基幹システムだ。定着したら、止めたり変えたりするのは難しい。それほど重要なシステムであれば、乱暴にサポートを受け付けなくなるというのは考えにくい。

大西 俊介氏
大西 俊介(おおにし・しゅんすけ)氏
インフォシスリミテッド日本代表。
1986年、一橋大学経済学部卒業後、同年日本電信電話株式会社に入社、株式会社NTTデータ、外資系コンサルティング会社等を経て、2013年6月より、株式会社NTTデータ グローバルソリューションズの代表取締役に就任。通信キャリア、ITサービス、メディア、ハイテク業界を中心に、海外ビジネス再編、事業展開、クロスボーダーな経営統合、経営レベルのグローバルプログラムの解決等、グローバル企業や日本企業の経営戦略や多文化・多言語の環境下での経営課題解決について、数多くのコンサルティング・プロジェクトを手掛ける。2017年1月1日より現職。

 標準サポート終了したとして、実際にどれだけ問題が生じるかも不明瞭だ。長年使っていれば、サポートがなくても問題は生じないかもしれない。そうはいうものの、長い間気づかなかった脆弱性や不具合などが、いつか表面化するかもしれない。あるいは法改正への対応など、何らかのシステム修正が必要になるかもしれない。そういう場面に直面したとき、サポートが受けられないことはリスクになる。ただし、これらは全て「かもしれない」という可能性であり、必ず起きるとは限らない。

 安心材料もある。過去にSAPは標準サポートが終了した製品をサポートしたことがあるからだ。多少の割増料金が発生するかもしれないが、サポートを延長する可能性や何らかの形でサポートが受けられる道はあると期待できる。とはいえ、SAPはまだ2025年以降のサポート体制について何ら発表はしていないので、あてにすることはできない。SAP以外の企業がサポートを請け負う可能性もある。これもどこまで、いつまで頼れるかは定かではない。

 標準サポートが2025年に終了することは明確でありつつも、終了日を境にSAP ERPのサポートの扉が完全に閉められてしまうことは考えにくい。また、実際に致命的なことが起きるかどうかも疑問だ。2025年以降に何が起こるかはまだ分からないことだらけだ。

 なお、SAP SEが発表した2018年度第1四半期決算によると、グローバルのSAP S/4HANAの顧客数は8,300社を越え、前年同期比で43%増加とある。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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