2020年までにIT組織の75%は事業継続できなくなる
ラチェット氏の専門はITサービスデスクやバーチャルサポートエージェントなどサービスマネジメント。I&O(ITインフラストラクチャとオペレーション)によってビジネスがカルチャーレベルから急激に変化しつつあるという背景から、IT組織の現状に大きな危機感を抱いている。
データで見ると、2014年にはネット経由の収益は22%だったものが2019年に45%になると予想され、企業の3分の1はすでにビジネスモデルをネットに移している。5分の1の企業はIOTにも投資をしている。
だが、同氏は「目に見えるデータより質的な変化がより重大である」と指摘する。IT組織は、まったく新しいI&Oスキル・文化への対応に迫られているという。I&O組織の75%が2020年までに目に見える形でビジネスの中断をすることになるとも予測する。IT企業であれば事業継続ができなくなり、社内のIT部門は必要性を失ってアウトソーシングに置き換えられるという。そうならないためには以下の3つのポイントの理解が必要と説く。
- IT組織の役割が変化して、まったく新しいスキルが必要に
- 組織の構造(カルチャー)も変えていかなければならない
- すぐに取り掛かってエンドレスにフィードバック改善を続ける
I&Oへの変化はクラウドファースト(プラットフォーム)への変化
世界のI&O先端企業のリーダーたちはクラウドファーストの戦略を採用。ガートナーがインタビューした30社のうち14社はすでにプラットフォーム企業に変わっているという。つまり、今までサービスプロバイダーだった企業が、自社だけでなく多くのサプライヤーが参加するプラットフォームを提供するサービスブローカーに変化した。多くのサプライヤーを集めたプラットフォームを提供することでユーザにとってのビジネス価値を高める戦略だ。
このプラットフォーム上では、ユーザも単なる「顧客」「ユーザ」ではなくなっている。彼らはフィードバックを返してビジネスプロセス改善の課題を出してくれる存在、バリューストリーム(価値を生み出す流れ)の中の「プロシューマー」(プロのコンシューマー)と再定義される。
IT部門はこのクラウド(プラットフォーム)ファーストの環境に合わせて、自分たちに求められる役割と求められるスキルの変化を理解しなければならない。例えば、自部門が提供してきた1つのシステムが99.999%の稼働率を誇っていたとしても、このプラットフォーム上の一連の流れの中でユーザの満足が得られなければ無価値となるのである。