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製品導入だけじゃない、アドビのコンサルティング部隊のはたらき


素早くプロトタイプを作り本番展開してカスタマーサクセスチームに引き継ぐ

 そんなアドビのコンサルティングサービスの強味は、もちろん企業がすぐにデジタルエクスペリエンス向上に使えるさまざまな製品を持っていることがある。これらを活用することで、顧客を個々に捉えることができるようになる。製品が揃っているので、迅速にプロトタイプを作ることも可能だ。その上で、コンサルタントには、アドビ製品を活用するための十分なノウハウがあるのだ。

 とはいえこういった製品やノウハウを持ちながらも、アドビではとにかく自分たちが得意な領域に持って行くようなコンサルティングはしないと言う。それは、前述の「実地」のところで顧客の課題解決を目指しているから。そしてアドビ製品に拘らずにサービスを提供できるのは、一方でアドビ製品が安定して売れているビジネス基盤があるからだ。本体のビジネスの安定があるおかげで、コンサルティングチームは自由度の高いビジネスアプローチができているのだ。

 実際にコンサルティングのサービスを提供する際のアウトプットでは、プロトタイプを作ることが増えている。「課題の調査を行いレポートを提出するだけで終わることもあります。今はレポートをもとに、プロトタイプを顧客と一緒になって作ることも増えています。その上で、プロトタイプを本番に展開します。この段階までくると、顧客にはアドビ製品のライセンスを購入してもらいます。そうなれば、以降はカスタマーサクセスのチームに引き継ぐこともあります」(小沢氏)

 デジタル変革のために、新たにマーケティングオートメーションに取り組みたいと考える企業は増えている。デジタル変革では、社外の顧客体験を向上させるために始めることが多いが、社内スタッフの働き方を改革するための取り組みとなることもある。社内スタッフも顧客の1つと捉えて、内外双方の体験を向上させる。そのようなコンサルティングサービスを提供できるのがアドビのコンサルティングサービスの強味だ。

 アドビが、自社製品の利活用支援以外のコンサルティングサービスに注力していることの認知度はまだ高くない。アドビなら、デジタルマーケティングのアプローチから入ることで、コンサルティングで成果を素早く出せるのは確かだ。それを足がかかりにして、いかに企業全体のデジタル変革につなげていくのか。顧客にそのための明確な絵を描いてみせることができれば、アドビのコンサルティングビジネスはさらに拡大するだろう。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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