クラウドのビジネスでここ最近順調に市場が拡大しているのが、SaaSの領域だろう。Salesforceが先頭を切り、Oracle、MicrosoftなどがSaaSビジネスを拡大している。国産ではfreeeなども元気だ。ERPベンダーのインフォアも、アプリケーションをクラウドで提供するビジネスが伸びている。インフォアのクラウドのビジネスは、当初はAWSの上でシングルテナントで提供するものから始まり、2018年からがマルチテナント型のSaaSも提供するようになった。同社のクラウドのビジネスは、グローバルでの成長率が36%ほどで、若干出遅れた日本市場はそれ以上の伸びがある。
飯尾氏が新たにインフォア日本法人社長に就任

クラウドシフトが進むインフォアジャパンに、2018年11月1日付けで代表取締役として飯尾光國氏が就任した。飯尾氏は、前職では日本テラデータ 執行役員として産業・サービス事業本部長を務め、その前には日本オラクルで約3年間、執行役員 システム事業本部長としてハードウェア事業を率いた。
飯尾氏は、2018年8月1日にインフォアに入社、3ヶ月の助走期間があったことで「スムースなスタートが切れています」と語る。この助走期間で同氏は、これまでのダイレクトセールス体制の強化、パートナーとのアライアンスのさらなる強化、そしてインフォアの6層の製品戦略を踏襲した製品を日本市場に確実に投入していく3つの日本における戦略を打ち立てた。
インフォアでは従来5層だったものを「Infor OS」によりテクノロジー基盤として提供する「Platform」を加えた、6層の製品戦略を立てている。Platformの上には、業務に特化した拡張性のあるアプリケーションスイートを開発する「Industry」、業務適合性の高いシステムをクラウドで提供する「Cloud」、ビジネスパートナーおよびデバイスとの繋がりによりビジネスネットワークを構築する「Network」、クラウド上でデータ蓄積をしそれを活用す「Analytics」、そして一番上にはColemanで新しい価値を提供する「AI」がある。

飯尾氏がこれから進める戦略のうち、ダイレクトセールスについては営業組織をエンタープライズとコマーシャル(中堅、中小向け)の2つに分けて対応する。インフォアはこれまで中堅、中小規模の企業に強いイメージがあるが、実際には大手企業でも実績がある。そこで改めて、エンタープライズ規模の顧客に対しても積極的に提案する体制を整えるのだ。また合わせて、業種別ソリューションの営業も厚くする。
日本においてはダイレクトセールスの強化とパートナーとの協業を両立させていく必要があると飯尾氏は指摘する。そのために、パートナーとの協業体制を強化する。たとえば、3年間で100名の認定技術者を新たに育成する取り組みを行う。また「パートナー契約のある企業に対し、これまでは不親切なところもありました」と反省も見せる。これを解消するために、パートナーを担当するスタッフの人数を増やし、トレーニングプログラムや認定試験などのローカライズにも力を入れる。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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