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仕様書に「画面遷移はパタパタしない」と書いてみる~感性的な表現を業務で活かす

第7回

正確に文字で表現することの難しい感性的な情報は、その扱いにくさゆえ、システム開発の現場ではほとんど見かける事はありません。しかし、読む人の感性に直接的に働きかける感性の情報は、とても有利なのもまた事実です。今回は、システム開発の現場で感性の情報を有効に活用する可能性について探っていきます。

コミュニケーションには「意味」と「感覚」がある

 システム開発のプロジェクトに係わらず、人と人の間や人と物(コンピュータなど)の間では常に何かしらのコミュニケーションがとられます。コミュニケートされる情報には、「意味(meaning)」と「感覚・感じ(sense)」があると考えられており、この「意味」は知性、「感覚・感じ」は感性と定義することが出来ます。

 「雪」を例にとってみると知性と感性は大まかに以下のような感じになります。

知性と感性
  • 知性表現:大気の上層で雲の水蒸気が冷気で結晶化して降ったもので多様な六角形の構造を持つ。
  • 感性表現:冷たくてフワフワした空から落ちてくるもの。きれいだけどはかない。

システム開発では「感性」情報は扱いにくい

 では、システム開発の現場ではどうでしょうか?

 システムは、顧客からの要求を仕様に変換して、それをもとにプログラミングされます。さらに、テストなどの評価を経て作り出されていきます。この一連の流れの中では、実に多くのコミュニケーションが必要とされています。特に、文字や記号を用いて設計書を記述することで、要求の「意味」的な情報化が進められます。

 しかし、残念ながら感性にかかわる部分は、ニュアンス通りに文字や記号にすることが難しいため、それが持つ豊かさは徐々に省かれていく傾向にあります。情報変換の難しさ以外にも問題はあります。プロジェクト管理や契約の立場からは、感性的な情報はその主観的な性質上、曖昧さを多く含むため取り扱いにくくあまり好まれません。

 もちろん何とか数値化することが出来る感性の情報も中にはありますが、やはり主観性が強いものは客観性が求められる公式な文書としては特に利用されにくくなります。

客観化できな情報は欠落しがち
  • 数値化できるもの:サクサク軽快な動作→画面遷移は3秒以内
  • 難しいもの:美しく調和が取れたデザイン→明確化することが困難

次のページ
仕事をする上で感性は不要なもの?

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この記事の著者

松本 潤二(マツモト ジュンジ)

松本屋 代表  コーチ、プロジェクト・ファシリテーター
1992年に起業した会社を1996年に退任後、「松本屋」を開業。
アジャイルプロセスとコーチングをベースとして、プロジェクトチームのチームビルディングおよびプロセス...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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