SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

Operation Online Press

Datadogのアレクシス・ルクオック氏が見るインフラのパラダイムシフトとモニタリング

 クラウドやDevOpsなどモダンな環境に合わせた監視サービスとして、Datadogの注目が高まっている。インフラのトレンドとともに進展してきたDatadogのこれまでとこれからを共同創業者でCTOを務めるアレクシス・ルクオック氏が語った。

パブリッククラウドの普及とともに成長したDatadog

 Datadogはクラウドを中心としたモダンな環境における運用監視をSaaSで提供している。大きな柱となるのが、メトリクス、トレース、ログ、Synthetics(外形監視)の4つ。CTOを務めるアレクシス・ルクオック氏は常に動向を見すえながら「次のプロダクトはどうあるべきか」と考えてきたという。現在に至るまでのクラウド動向とプロダクトを振り返る。 

Datadog 共同創業者/CTO アレクシス・ルクオック氏

 Datadogの共同創業者となるCEOのオリヴィエ・ポメル氏とCTOのアレクシス・ルクオック氏が最初に出会ったのは1996年。まだ2人はともに学生だった。ルクオック氏が学内のネットワークをLinuxで散策していたところ、ネットワーク管理をしていたポメル氏からハッキングをしていると疑われ、ルクオック氏は数日間ネットワークにアクセス禁止とされたことがあったそうだ。 

 後に2人はIBM Researchで再会。ここからいくつかの企業でともに働くことを経て、2010年にDatadogを共同創業した。どちらかというとポメル氏は開発側、ルクオック氏は運用側で経験を積んできた。開発と運用の間には溝があるという課題を2人は共有し、「開発と運用を一緒にする」、つまりDevOpsの実現を創業当時から大きなミッションとして掲げている。  

 脱線となるが、「Datadog」という社名について。創業前のある職場ではオンプレミスで運用しているサーバーそれぞれに名前を付けており、Oracle Databaseを稼働させているサーバーは「Datadog」と呼ばれていた。重要なシステムが稼働していたため、入念に監視していたそうだ。深い意味はないが、ここでの愛称「Datadog」が気に入っていたため会社名にしたという。 

 2010年にニューヨークでDatadogを起業した。初期のプロダクトで監視できたのはメトリクスのみ。当時からDatadogの特徴となるタグは導入されていた。 

 Datadogの成長が加速し始めたのは2014年から。クラウドを利用する企業が増えてきたころでもあり、同社がAWS(Amazon Web Services)のre:Inventで初めてブースを出した年でもあった。技術的にはDocker 1.0が注目されていて、DatadogがDockerコンテナにおける監視でセッションを持ったところ、すぐに満席になるという人気ぶりだった。ルクオック氏もあらためてDockerの重要性を認識したという。  

 2015年にはre:Inventで大手金融機関CapitalOneが登壇し、重要なシステムでパブリッククラウドが使われることを知らしめる兆候となった。この年はKubernetes 1.0が登場し、AWSはLambdaを発表したが、どちらもまだどう成長するかは不透明だった。Datadogではプロダクトにトレースを採り入れ、APM(アプリケーション性能管理)のプロトタイプに着手し、異常検知にAI活用を始めた。 

 2016年になると、より多くのクラウドやコンテナが使われるようになり、パブリッククラウドの利用規模が拡大してきた。また、それまでDockerのオーケストレーションツールがいくつか競合していたが、Kubernetesの勝利が見えたころでもあった。サーバーレスという概念がメインストリームとなり、Datadogはじめ多くがKubernetesやサーバーレスに投資するようになったころでもある。Datadogでは大きな柱としてログを準備し始めた。 

 2017年はグローバル企業でクラウドを統合的に利用する動きが本格化し、ますますクラウドの市場が拡大してきた。当時マネージドコンテナのオーケストレーション(ECSやFargete)はまだプロプライエタリ(独自)であり、ルクオック氏は「この分野でもKubernetesは勝てるだろうか?」と注視していたという。Datadogでは監視の大きな柱にログを追加した。 

 そして2018年、デジタルトランスフォーメーションのキーコンポーネンツはクラウド、コンテナ、サーバーレスが定番となり、多くの企業がIT企業を目指してパブリッククラウドへと向かった。マネージドオーケストレーションの分野ではKubernetesがデファクトの地位を獲得した。ルクオック氏は「サーバーレスのトレンドはまだ続くだろうが、まだ制限が残る。もう1~2世代ほど推移を見ないと」と話す。  

 Datadogでは4つめの大きな柱となるSynthetis(外形監視)を2018年11月に発表し、2019年3月には晴れてGAとなった。 講演の締めくくりとしてルクオック氏は「これからもパラダイムに合わせ、エンドツーエンドの可視化を進め、プロダクトを拡充していきます。進化を止めることはないので、どうぞ期待してください」と日本のユーザーに向けてメッセージを送った。

次のページ
Datadogはサーバーレスやマイクロサービスをどう監視するか

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
Operation Online Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/12046 2019/05/27 06:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング