ホスト中心への回帰−Webアプリケーション
クライアントサーバーは現在でも高度なUIを提供するアプリケーションでは主流のモデルですが、課題もあります。その代表的なものが「TCO」です。アプリケーションは、個々のパソコンにインストールされて実行します。パソコンが1000台あれば、1000台にインストールしなければなりません。アプリケーションが10種類あって、1000台にインストールし、半年に一回修正が入ると、一年間に2万回ものインストール作業が発生することになります。これは、全体のコストと考えれば得策ではありません(社員一人一人にインストールさせていたら、素人作業なので余計にコストがかかると考えます)。
このような状況で復活したのが「ホストvs端末」の考えなのですが、このキーとなったのがWWW(World Wide Web)の登場です。

WWWは、クライアントサーバー型のソリューションです。Webサーバー(HTTPサーバー、またはデーモン)と、Webブラウザー(より正確には、HTML表示ソフトウェア)という「表示装置」を使って、ドキュメントを閲覧するシステムです。Webサーバー上でアプリケーションを実行できるようにしたため、「Webアプリケーション」という考え方が起こるわけですが、この仕組みは、「ホストvs端末」と同じものです。アプリケーションで「HTML」を端末用のストリームとして生成して端末(Webブラウザー)に送信して表示させ、入力内容を受け取って次の処理をする、という型式です。これは「ホストvs端末」時代のアプリケーションの作りとよく似ています。「端末の機能=HTML」という図式も同じです。
Webアプリケーションの登場によって、パソコンを端末として使う「ホストvs端末」時代がやってきました。アプリケーションの展開速度は高迅速化され、コストが削減されたように思えますが、結果として端末技術は後退してしまったと言わざるを得ません。現在のパソコンのほとんどは、Webアプリケーションを使っている最中、ほとんどの場合遊んでおり、CPUもメモリーもHDDも大量にあまっています。
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米持 幸寿(ヨネモチ ユキヒサ)
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア コンサルティング・テクノロジー・エバンジェリスト ソフトウェア・テクノロジー・ストラテジー・リード。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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