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ガートナーに訊く企業のコンテナ活用の今後(前)── 企業のKubernetes活用の課題とは?

edited by DB Online   2020/03/23 08:00

コンテナ活用の鍵は何を変革するかの目標を掲げアジャイル開発とセットで

 ところで、2019年にはコンテナが大いに話題となり潮目が変わってきたとはいえ、コンテナの活用で鍵となるアプリケーション開発などの内製化が日本では一向に進んでいない印象がある。コンテナの利用で先行している企業の内製化の状況は、いったいどうなっているのだろうか。

 コンテナの活用で、国内で先行している事例の1つがデンソーだ。同社ではコネクテッド・カーやMaaS(Mobility as a Service)など、デンソーのビジネスにとってこれからかなり重要となるデジタル・プロジェクトの開発部隊がコンテナを活用している。ここではアジャイル開発、DevOpsが標準となっており、それを実践するための小さい規模の開発チームを作っている。小さなチームそれぞれが、別々にインフラ管理をするのは大変だ。そこで新しいアプリケーションを作るための共通プラットフォームを、コンテナ技術で実現しているのだ。

「デンソーのやり方は、ガートナーのベストプラクティスにかなり近いアプローチとなっています。共通プラットフォームでKubernetesを採用し、さまざまな小さい単位の開発チームがDevOpsをやりやすくしているのです。こういったことは、現状で日本の他の企業がなかなか真似をできないところでもあります」(桂島氏)

 デジタルの世界では、3年などの長い時間をかけ1つのプロダクトをじっくり構築するアプローチは取らない。まずは、プロダクトを作ってみないと分からないことが多い。そしてできあがったものをいち早く顧客に試してもらいフィードバックを受けることで理解できることも多い。結果的に作りながら試行錯誤し、市場に合わせた製品開発を継続することになる。そのためにはアジャイル開発を実践し、DevOpsの小さいチームで開発サイクルを迅速に回す。これらを実践できることが、コンテナを使いこなす際には重要なポイントになると桂島氏は言う。

 一方、IT部門でインフラを担当していたチームがコンテナの話をする場合には、仮想化と比べコンテナにはどのような優位性があるのかといった会話になりがちだ。コンテナ技術の本質は、そこにはない。コンテナを活用することで、企業のデジタル化にどのように貢献できるのか。また必ずしもデジタル変革でないとしても、コンテナを活用して既存のアプリケーションのデリバリを早くすることでビジネスの何が変わるかを考える必要がある。そういった目的を持ってコンテナについて考えることができるか。そのためにはITのインフラの運用チームだけでなく、アプリケーション開発の人たちも一緒にコンテナについて話をする機会を作る必要があるのだ。

※後半では、クラウドベンダーなどの動向から今後のコンテナ活用がどのように進むかを紐解いていく。



著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

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