企業の生存戦略として、大義の下に人が集うエコシステム型が重要になる
康隆氏:ここまで、譲さんの転身の背景と、DXの定義についてなど非常に興味深い話が続きましたが、いよいよここからはSAPの学びをベースに譲さんが、富士通のような日本企業がどのようにDXを推進していくべきかお聞きしたいと思っています。以前、譲さんはインタビューなどでDX実現のためには、人材も大事と話されていました。
譲氏:時田は、2020年が富士通にとって新たな方向に向けたスターティングポイントであり、DX企業になるための実行フェーズ、それも少しずつではなく全社一斉にという方針を出しました。まさに全員野球。日本の十八番です。
これを実現するには、リーダー層が「この指止まれ」とけん引するだけでなく、その指を掴む人たちの意識改革も求められます。外資系におけるトップダウンよりも、馬力も時間もかかります。そのため遅く見えることもあるかもしれません。しかし、いざ舵を切ったらトップダウン型と比べ、全員の意識が同じですから、パワーもスピードも出ます。
富士通は社員の約3分の2が日本人で、日本にオリジンをもっている。これが良さでもあり時には課題でもありますが、それと向き合い、大きな変革のうねりをつくりたいと思っています。
そのためには、自社が考える顧客への課題解決だけでなく、ビジネス全体での社会課題の発見と解決という大義の下、立場を超えてともに取り組める人たちとつながるエコシステム型の発想が重要になってくると考えます。