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「技術よりビジネスを語れ」CIOは経営層の一人、戦略に沿ってファクトベースで手腕を振るう

三菱ケミカル 常務執行役員 加藤淳氏×Apptio 代表取締役社長 成塚歩氏 対談

CIOは経営の一翼を担う意識を持つべき

押久保:2021年に三菱ケミカルにジョインされたきっかけはありますか?

加藤氏:2019年ころから、様々な企業に声をかけていただき、オファーもいただいた。私の個人的なキャリアコーチ講師は、「最終的にオファーをいただいてから悩みなさい」とおっしゃっていて、そのオファーをいただいた企業の中に三菱ケミカルがありました。では、なぜ三菱ケミカルかというと理由は大きく2つ。

 まず会社がダイバーシティ&インクルージョンを含めた変革を推進しようとしている気概を、強く持っていたこと。もう一つは、ITに非常に課題を抱えていたこと。コカ・コーラや日産自動車で経験したことを生かせると思い、決めました。

成塚氏:今、加藤さんは情報部門のトップとして三菱ケミカルにいらっしゃると思いますが、CIOについてはどのようにお考えですか? 私は以前から日本のCIOが変化していくべきで、それを支えていきたいと考えております。

加藤氏:CIOには、Officerがついています。つまり、経営の一翼を担う役職であり、経営者の一人です。つまり、ITの専門家ではなく、ビジネス=経営を語れなくてはいけない。会社の戦略を理解し、それを踏まえた上でデジタルやIT技術でどのような貢献ができるのか。それは付加価値の付与でもいいし、加速化でもいい。ビジネスとしてどのような結果を出せるのか。私自身も常々そのように意識して動いています。

 三菱ケミカルもウォーターフォール型の文化が主だったものを変えようとしています。具体的には、一ヵ月でアジャイル式に、アウトプットして見せていこうとしています。ビジネスは日々変わります。失敗も成功も早いほうがいい。「付加価値が1年後です」とかいうのは、だめでしょう。

成塚氏:「見せていく」は加藤さんのキーワードではないでしょうか。自分たちの進捗や方向性をベンダーにも見せていきますよね。Officerとしての目線、そしてステークホルダーに「見せていく」という考え方。Officerだから「見せていく」のかもしれませんが。

押久保:日本のCIOの方の多くはずっと1社にいて、情報システム部からCIOになったという人も多い。その場合、経営者目線を持つのはなかなか難しいかもしれません。そういう意味で、同じCIOでも日本とグローバルではギャップがありますね。

加藤氏:ギャップはありますね。別に意図しているわけではありませんが、日本のCIOの方とのお付き合いはあまりないですね。海外のCIOとの交流は多いですが。彼らと話すと経営の話、ビジネスの話になります。ITの話はあまりしません。

成塚氏:加藤さんとお話をすると、経営のことも広範囲に知見があり、どのように学ばれているのか気になります。

加藤氏:勉強はしていますが、行動した結果かもしれません。私はSAPの本社の人と話したいと思ったら、ドイツまで行き、一人で入り口に向かいます。気になれば電話もするし、メールもする。ダイレクトにつながることを心がけているので、そこでの学びは大きいかもしれません。日本の閉じた世界の中で商売をしているSIerさんが持っている情報から学ぼうとするのか、自分でダイレクトにグローバルで学ぼうとするのか。事業会社の目線でいうと、この差は大きいと感じています。

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TBMはカルテのようなもの、ファクトベースで判断ができる

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長1978年生まれ。立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

中村 祐介(ナカムラ ユウスケ)

株式会社エヌプラス代表取締役デジタル領域のビジネス開発とコミュニケーションプランニング、コンサルテーション、メディア開発が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実施...

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