
インサイトテクノロジーの代表取締役社長兼CEOのアレン・マイナー氏は、2019年4月に同社をデータベースの専門家集団から、社名通りのインサイト探求の専門家集団に変革するとの方針を打ち出した。その後のインサイトテクノロジーの変革はどのように進んでいるのだろうか。
アレン・マイナー氏はCEO退き、チーフ・ビジョナリー・オフィサーに

マイナー氏はインサイトテクノロジーのCEOの座を森田俊哉氏に譲り、2021年度には新たにCVO(チーフ・ビジョナリー・オフィサー)と言う立場で経営にあたることとなった。CVOは企業の方向性を見定める役割であり、社会の将来像を見据えた上で会社がどうあるべきか明らかにする。マイナー氏はこれまで、さまざまなビジネス経験の中でCVOの肩書きは使ってこなかった。しかし振り返ってみると、これまでずっと会社の方向性を見定める活動をしてきており、今回改めてCVOというタイトルのもとで将来を見定める活動をすることとなる。
株式会社セールスフォース・ドットコムの立ち上げにも関わったマイナー氏は、2年半ほど前にインサイトテクノロジーの経営を引き継いだ際に、同社のビジネスのオンプレミスからクラウドへのシフトを真っ先に考えたと言う。もともとインサイトテクノロジーは、日本オラクルのエンジニア3名がスピンアウトし1995年に起業した会社で、オンプレミスのOracle Databaseに関連するビジネスが多かった。顧客の多くは大企業で、自社データセンターにあるOracle Databaseをどうするかといったオンプレミスのビジネスモデルが主流だったのだ。
Oracle中心からマルチデータベースへ
「このままだと将来のビジネスがやりにくくなると考え、早めのクラウド、SaaSへのシフトを最初の方向性としました」とマイナー氏。加えて2つ目の方向性が、Oracle Database関連が主だったビジネスを変えることだ。Oracleにおいてもリレーショナルデータベースだけでなく扱うデータは多様化している。さらにオープンソースのデータベースも市場では存在感を示しており、他にもデータウェアハウス専用、グラフデータ、タイムシリーズデータなど多様なデータを扱うデータベースを企業で利用するようになっている。
結果的にシステム構成やデータベースデザインは複雑化しており、扱うデータの性質に合わせた適切なデータ管理が求められている。このデータベースのニーズの多様化という変化に対応するために、マルチデータベースを意識したビジネスが必要でありそれをインサイトテクノロジーの2つ目の方向性としたのだ。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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