アフターコロナで企業が直面する環境変化
デジタルテクノロジー活用の進展に伴い、社会には第4次産業革命がもたらされると言われている。あらゆるものがデータソースに変わるスマート社会の到来で、ビジネス環境は大きな変化の波にさらされることになるだろう。現在は完全収束には程遠い実情ではあるが、金谷氏は「コロナ後の環境の変化を踏まえ、準備を進める必要がある」と主張する。その変化とは次のようなものだ
まず、これまでの自社の事業活動を推進するための投資から、社会責任やステークホルダーとの協調性に配慮し、社会全体の最適化を視野に入れた投資が求められるようになる。ビジネス戦略もこれまでのような市場の安定性を前提に置いて立案することは難しい。環境変化に応じて事業方針を柔軟に変更することを求められる場面が増えてくる。デジタル化についても、製品戦略の分野では比較的進んでいたが、これからはより競争優位を確立するためのデジタルテクノロジー活用を意識しなければならない。業務活動では効率化や自動化から、デジタル、リモート、クラウド、無人化がキーワードになる。そうなると、競合他社の動きを見ながらの横並びではいられない。積極的に最先端のテクノロジーを活用する方向に舵を切る必要が出てくる。これらのトレンドは加速している。だからこそ、今からデジタルテクノロジーやデータを使いこなすことが不可欠となるのだ。
そもそもDXとは何か。経済産業省の定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とされている。DXは自分たちには必要がないことと考える企業経営者もいるようだが、環境が変化している以上、あらゆる経営者にとって無関心ではいられないテーマだ。
とはいえ、多くの企業がDXを進めていても、実際はさほどうまくいっていないことも各種調査結果からわかっている。コンサルティング会社にサポートを依頼したが、構想立案で終わってしまい、何からやればいいのかがわからず困っていることもあるだろう。そんな企業に向けて金谷氏は「まず自社の環境を知り、何ができるかを考える。新しい市場を作ること以前にできることをやろう」と呼びかけた。