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北川裕康のエンタープライズIT意見帳

ここが変だよ日本のITトレンド。成熟度を定義してDXの次に備える

 日本ではデジタル最適化が成熟していないので、いきなりDXは難しい。成熟度をきちっと上げていかないと、次の進化はないと著者は指摘します。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、現在はクラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長の北川裕康氏が本音と洞察で業界動向を掘る連載。

 最近のEnterpriseZineの記事をみても、現在、DXの話題に事欠きません。このようなトレンドが起こり、デジタルについて議論をすることはとても良いことだと思います。ただ、ビッグデータ、データサイエンティストなど、過去に同じようなトレンドを見てきて、改めて現状を俯瞰すると日本のITの課題が見えてきます。これらのトレンドは基本的に進化であり、突然変異ではありません。進化というのは、何か進化前の基盤があります。日本の場合は、その基盤が弱いので、進化だけをみて、取り組み方法が分からない、当社には関係ないという話になるのだと思います。

 たとえば、ビッグデータのトレンドは、統計、データマイニング、時系列分析、機械学習といったデータサイエンスの進化の先にあります。同じようにデータサイエンティストのトレンドは、欧米では企業の中にアナリストという職種が長年あり、その進化でビジネス課題をデータサイエンスとITで解決する役割として登場しました。1993年にマイクロソフト社に入社したのですが、当時から普通にアナリストが日本オフィスにもいました。同じようにDXも、デジタルを使った業務の最適化の進化として、デジタルによる業務のトランスフォーメーションがあるのです。

 要するに、日本は相対的、絶対的に、進化の基盤部分が弱いため、進化だけが話題になり、右往左往するのです。DXにしても、デジタル最適化が成熟していないので、そらいきなりDXにならないでしょと思います。ベンダー側もこのあたりを正しく理解できていないので、何でもDXに結びつけて宣伝している傾向があり、混乱へ拍車をかけています。メディアもそうかな。すなわち成熟度をきちっと上げていかないと、次の進化はないと思います。音楽でも、スポーツでも、基礎の上に応用があるのと同じです。逆に、備えておえば、新しいトレンドが来てもへっちゃらです。

 「私は、やっぱりICTという言葉が好きではありません。 日本は、デジタル落第国から脱却できるのか?」の記事で記載しましたが、日本は2020年時点ではデジタルの競争力が世界27位です。

 ログデータ解析ソフトウェアベンダー Splunk Services Japan [※1]の調査では、日本は主要7ヶ国の中で最もデータ成熟度が低いと結果がでています。

 Advanced Analyticsも、マッキンゼーの調査[※2]をみると、これはアジアの中の認知度合いですが、下から数えたほうが早い状況です。

 これらの成熟度の低い原因の1つは、大学教育にあると思います。最近こそデータサイエンスの学部が滋賀大学などに出来てきていますが、米国では主要な大学では統計学部が必ずあります。ソフトウェアについてもそうです。ソフトウェア開発者、アナリストなどの職種が大手の企業ではない。よって、大学でもその関連する学部がない。学部がないから、基礎をもった人が社会に排出されないという、悪循環が国内で続いています。大学の取り組みについては、残念ながら時間がかかります。

[※1] Splunkリリース

[※2] マッキンゼーレポート(pdf)

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COBITの成熟度モデルがヒントになる

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北川裕康(キタガワヒロヤス)

35年以上にわたり B2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workday、Inforなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションなどで執行役員などの要職を歴任。現職は、クラウドERPベンダーのIFSでマーケティングディレクター。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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