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統括編集長インタビュー

「スーパーCIOに依存しない持続的なDXを」元オープンハウスCIO/CISO田口氏独立の思い

 日本のDX推進に足りないものは「人材戦略と開発にある」と話すのは、オープンハウスの執行役員CIO/CISOを務め、2021年に株式会社digilを立ち上げ代表取締役社長に就任した田口慶二氏だ。DXというと、ITによる構造改革にばかり目が行きがちだが、変革とそれにともなう持続的な成長を求めるのであれば、人材にも目を向けるべきだと話す同氏。小社の押久保剛統括編集長 兼 Enterprise Zine編集長がその考えを訊いた。

IT投資コストを下げてでも内製化へ踏み切らせた、オープンハウスのDX推進

押久保剛(以下、押久保):田口さんは、オープンハウス時代に本誌でも寄稿をいただいたこともあります。このときも、オープンハウスのDX実践者として、IT戦略やDX、組織改革について語っていただきました。

田口慶二氏(以下、田口氏):私はNTTで情報セキュリティエンジニアや先端技術リサーチャーとしてキャリアをスタートさせ、その後、ベリサイン、AEON、CHINTAIを経てオープンハウスに2014年入社しました。当時のことは押久保さんのおっしゃる通り、記事にさせていただきました(連載記事)。オープンハウスに私が参画した当時は、IT活用の考えが無いに等しい状態でしたので、そこから現在の同社の状況を見ると成長に貢献できたかなとは思っています。

株式会社digil 代表取締役社長 田口慶二氏インターネット黎明期より様々な業種業態でIT技術を活用したシステム構築、マーケティング、コンサルティング、新規事業開発、経営に携わる。元オープンハウス 執行役員 CIO/CISO。2021年8月に株式会社digilを創業し、代表取締役社長に就任。ビジネス/IT/経営の橋渡しに留まらず、3Wayプロフェッショナルであり続けるために、本気で変革と向き合う企業に伴走型コンサルティングサービスを提供している。
株式会社digil 代表取締役社長 田口慶二氏
インターネット黎明期より様々な業種業態でIT技術を活用したシステム構築、マーケティング、 コンサルティング、新規事業開発、経営に携わる。元オープンハウス 執行役員 CIO/CISO。 2021年8月に株式会社digilを創業し、代表取締役社長に就任。ビジネス/IT/経営の橋渡しに留まらず、 3Wayプロフェッショナルであり続けるために、本気で変革と向き合う企業に伴走型コンサルティング サービスを提供している。

押久保:ITの導入やDXの推進というのは、売上と直結しづらいかと思います。不動産業界は特に営業中心、売上を重視されている業界でしょう。どのような取り組み方をされて成果を出されてきたのでしょうか。

田口氏:IT導入当初、IT部門が単体で売上と明確につなげて話せることは「コスト削減」についてです。コストを削減するためには、外に頼らず社内でできるようになることが必須事項です。つまり、ITの内製化です。これを紆余曲折ありながらも、走りながら進めることにしました。通常、日本の上場企業のITコストは売上高対比で1~1.5%といわれていますが、私はこれを0.2%に設定して懸命に取り組みました。この程度の投資であれば、会社も納得してくれます。よい意味で現場からの期待が膨らみ、毎年0.2%で応えきるためにQCD(Quality/Cost/Delivery)において、頭に汗をかく機会は多かったですね。

押久保:田口さんがいらしたNTTや、ベリサインなどと比べ、不動産業で新興のオープンハウスでITの内製化チームを作るのは難しかったのでは? 入社された2014年当時はまだ不動産テックの話題もほとんどなく、エンジニアの興味の範囲外だったように思われます。

田口氏:その通りです。そのため、私のこれまでのキャリアと人脈をフル活用しました。最初に入ってくれたメンバーは、オープンハウスというより、私と一緒にやってやろうと思ってくれた人たちですね。当時、志の高い仲間に出会えたことは今でも感謝しております。

 採用活動と同時にエンジニアの働きやすさ向上のため、会社におけるIT部門の独自評価指針を策定するなど改革も進めました。評価基準が営業と同じでは、エンジニアは業務を高いレベルで行うことができませんから。

押久保:つまり田口さんが会社の中での環境を整え、人材を増やしていった。

事業会社とSIer・ベンダーの特殊な構図が経済成長の遅れを招いた

田口氏:IT活用についての役割を負っているのは、当時私だけに等しい状況でしたから、自分でやるしかありません。元々、私は国内の事業会社でITの内製化チームは必要という考えでした。ベリサイン時代に接した多くの米国大手企業ではIT内製化チームを確立し、経営に資するIT活用を実行していましたから。自分たちの事業なのだから、何か必要であれば自分たちで開発していくべきです。事業成長のためのIT導入やDX推進の大半を外注してしまっては、魂なき状態ですし、持続性に欠けてしまっています。

押久保:外注が多いのは、日本独特の文化ですよね。事業会社とSIer、ベンダーの関係、それから多重請負構造……。

田口氏:それによって事業会社とSIerがセットで成長できたともいえますが、今となってはこの特殊な構造の結果、日本の経済成長は遅れてしまっていると言わざるを得ません。実は、ここに私が会社を起ち上げた理由があります。

 これまでも、オープンハウスに在籍時も、CIOとして入ってくれないかというありがたいお話をいくつもいただく機会がありました。ただ、そこで私が特定の一社で仕組みを作ったとしても、他の会社が遅れたままではもったいない。当事者意識をもって取り組む本気の複業にチャレンジしようと決心しました。

 日本の企業全体のDXを推進するためには、パートナーという立ち位置で複数の会社とともに歩んでいくほうが、成長の遅れを取り戻し、諸外国の企業に追いつけるのではないかと考えたからなのです。今まで上手くITを活用できてこなかったのだから、むしろ伸びしろ多い分チャンスなのだと思っています。

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DX、IT内製部門構築のコンサルティングサービスを提供

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア部門 メディア編集部 部長/統括編集長 兼 EnterpriseZine編集長1978年生まれ。立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、『MarkeZine(マーケジン)』の立ち上げに参画。2006年5月のサイトオープン以降、MarkeZi...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

中村 祐介(ナカムラ ユウスケ)

株式会社エヌプラス代表取締役デジタル領域のビジネス開発とコミュニケーションプランニング、コンサルテーション、メディア開発が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実施...

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