Linuxサーバーの管理ツールから始まりメールセキュリティへと拡大
同社が事業を開始した、1996年頃のLinuxサーバーの管理は、コマンドラインベースだったため、誰でも簡単にできるようなものではなかった。そこで独自ユーザーインターフェイスの管理ツール「HDE Controller」を開発し提供した。また、HDE Controllerのユーザーは、Linuxサーバーでメールシステムを構築するケースが多かった。そのため顧客からも要望の多かった、数多くのメールを分散して送る独自のメール配信システムも提供した。さらに取り組んだのが、メールのセキュリティだった。メールのウイルス対策や、安全なファイル転送の仕組みとしてパスワード付きzipファイルとそのパスワードを別送する「PPAP」の機能などを、オンプレミスのソフトウェアで展開した。
2011年の東日本大震災を期に、大規模な災害にも対処できるようHENNGEはオンプレミスからクラウドへとビジネスをシフトする。メールセキュリティ関連ツールもクラウドで提供するようになる。この頃、メールは既にビジネスに欠かせないツールとなっていた。ビジネスで頻繁に使うようになると、メール環境にもさまざまな攻撃がされ、多様なリスクが生まれる。
そうすると当初は安全なファイル受け渡し法だと思われていたPPAPも、安全性を高めることにはならないと認識されるようになる。他にもメールのToに大勢の宛先を指定してしまったり、宛先にビジネス利用には適さないフリーメールの宛先が含まれたりといった、メールに関わる新たなセキュリティリスクも明らかになる。それらに対応するため、HENNGEではメールのフィルタリング機能などを追加し安全性の担保を目指してきたという。「さらに機能提供だけでなく、フィルタリング設定の代行なども行っています」と言うのは、HENNGE株式会社 West Japan Sales 西日本統括営業部長の斉藤秀樹氏だ。
メールセキュリティの運用代行まで請け負うことで、企業が求めるメールセキュリティに関するノウハウとナレッジがHENNGEに蓄積され、それを新たな製品の開発にフィードバックできる。また製品を知り尽くしたベンダー自らが、自社製品を用いセキュリティ対策をすることでより安全性が高まり「顧客のビジネスを止めるようなこともありません」と斉藤氏。この取り組みは、製品提供だけでなく製品を活用するビジネスのサービス化にも貢献している。