NTTドコモはCMFやFinHackを活用しコスト削減を実現
株式会社アイスタイルでは、CMFを使い3ヶ月間でAWSのコストの10%を削減している。またNTTドコモは、CFMとFinHackでAWSのコストの最適化に取り組んでいる。同社は古くからAWSを活用しており、ビッグデータの解析を始め、同社の200を超えるサービスが何らかの形でAWSを利用し動いている。ドコモではクラウドCoE(Cloud Center of Excellence)を立ち上げ、クラウドのコスト最適化、技術支援、要望のとりまとめなどに取り組んでいる。

「2016年からの5年くらいの間に、AWSのアカウント数は5倍くらい増えています」と言うのは、株式会社NTTドコモ ネットワーク本部 サービスデザイン部長の伊藤孝史氏だ。AWSは簡単に使えることで、ユーザー側のコストに対する管理や意識付けが難しい面があると指摘する。また、プロジェクトによりコスト最適化の対策がばらばらなのも課題だった。
NTTドコモでは、2020年にCFMとFinHackを2回開催し、AWSのコスト最適化に取り組んだ。結果としてオンプレミスと同じような考え方で設計、利用していた環境において、CFMを通じて開発、デバッグ環境を最適化し60%のコスト削減を実現している。本番の商用環境はアクティブユーザー数が増え利用サーバー台数も増加していたが、CFMの結果からサーバー台数を17%削減した。

コストの可視化は、重要だ。多くのコストを占めているところが分かれば、そこに対して何らかの対処をする。その際にはAWSの知恵を借り、たとえばEC2のインスタンスに対し最小限のスペックにプラスアルファし、スポットインスタンスの導入をするなどでコストを削減する。他にもデバッグ環境は夜間、土日は止めるなど細かい点も積み重ねて、コスト削減にNTTドコモでは取り組んだ。
別のサービス基盤では、リクエストのあるなしにかかわらず常時サーバーを起動していた。これに対しスケジューリングを厳密に行い、Amazon ECSのコストを約37%削減している。さらにセービングプランを活用し17%削減し、トータルで48%の削減を実現した。他にも最新のインスタンスへの変更、保存しているログのライフサイクルの見直しなどでもコストが削減されている。
それぞれのプロジェクトのメンバーが、コスト削減を自分事として捉えることが重要だと伊藤氏は指摘する。そしてFinHackへの参加で、ユーザーの意識が変わる。NTTドコモではFinHackの様子を録画し、参加できなかったユーザーにもどのような議論がなされたかを共有できるようにしている。最適化のための情報を共有し水平展開しながらクラウドを使い倒していくと伊藤氏は言う。
クラウドベンダーの立場からすれば、顧客企業にはサービスの利用を増やしてもらい、売り上げ向上を図りたいところだろう。とはいえ、それでコストが高いとの印象を持たれれば、顧客満足度は低下し乗り換えが発生しかねない。そのためもあり、顧客目線でコスト最適化に取り組むCFMやFinHackのサービスをAWSでは無償提供している。