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クラウド各社のコスト最適化戦略に注目 AWSのCFM、NTTドコモのマルチクラウドのコスト削減事例

edited by DB Online   2021/09/29 11:00

Google Cloud BigQueryも採用するドコモではマルチクラウドのコスト最適化も求められる

 ところでこのAWSの説明会の翌日に、Google Cloudの説明会でNTTドコモがビッグデータ分析基盤にBigQueryを活用しているとの紹介があった。つまりNTTドコモは、AWSとGoogle Cloudのマルチクラウド環境を構築しているのだ。

 NTTドコモでは、2014年からオンプレミスとAmazon Redshiftの125台の環境を組み合わせたIDAPと呼ばれるデータ分析基盤を利用している。IDAPのユーザー数は2500人、1日あたり50テラバイトを超えるデータ処理量があり、総データ容量は5ペタバイトに及ぶ。

 2017年にはデータ量の増加に伴いRedshiftを拡充、2019年3月にBigQueryの性能検証を開始し、12月にはBigQuery運用の目処が立つ。2020年10月にBigQueryの小規模導入を実施し、2021年7月から本格導入を行っている。

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 NTTドコモがBigQueryを選んだのは、データ量増加がきっかけだ。大容量のデータに対する同時並列実行の高い性能を評価し、採用に至っている。他にもBigQuery GIS、BigQuery MLといった豊富な機能が使えることも魅力的だった。また閉域網で利用できることで厳格なセキュリティ要件を満たせたことも採用につながった。

 現状、ユースケースによりクエリー性能がBigQueryのほうが高いものがあり、6割から7割がBigQueryで処理されている。前述のようにNTTドコモではAWSの利用が進んでおり、そこで発生するデータの収集や加工などは引き続きRedshiftで行われる。全てのデータをBigQueryに持って行くとデータ移行コストが高くなるので、データを厳選しBigQueryに渡すようにしている。

 BigQueryの採用は性能を評価してのことだが、高い性能が得られることは結果的に多くのサーバーリソースを必要としないなど、コスト最適化につながるはずだ。今後NTTドコモでは、AWSの中のコスト最適化だけでなく、Google Cloudのサービスも加えたマルチクラウドでのコスト最適化に取り組むことになるだろう。

 そしてマルチクラウドのコスト最適化となれば、AWSの支援を期待できない。NTTドコモ自身で最適化のノウハウを身に付け、マルチクラウドに適用できなければならないだろう。マルチクラウドの活用では、より良いサービスを選べるようになるだけでなく、複数クラウドのサービスを組み合わせた際のコスト最適化の知見も求められるわけだ。NTTドコモくらいのIT部門の体力と体制がなければ、マルチクラウドを最適化し利用するのは難しそうだ。



著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

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