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週刊DBオンライン 谷川耕一

クラウド各社のコスト最適化戦略に注目 AWSのCFM、NTTドコモのマルチクラウドのコスト削減事例


 事例取材をしていると、AWSの評価ポイントとして利用継続でサービスコストが安くなることを挙げるユーザーは多い。実際AWSでは、過去10年間に85回の値下げを実施している。オンプレミス製品の場合は、導入時に大きなライセンスコストが発生し、さらにサポート費用が毎年必要だ。継続した利用で、サポート費用が上がるものもある。クラウドではサービスの裏側で利用されるハードウェアも適宜更新され、同じ利用費用でより新しい性能の良いITインフラが得られることもある。

AWSは継続的なコスト最適化に寄与するサービスを提供

 コストメリットが高いとされるパブリッククラウドだが、簡単に拡張でき次々と便利なサービスが登場するため、利用するサービスが増えITコストが上昇するケースも散見される。そのため社内でユーザーが自由にサービスを選び使えるメリットを抑止したり、申請制にして、承認無しでは新たなサービスを使えないルールにしている企業もある。

 大きなコスト削減を期待しオンプレミスのシステムをクラウドに移行しても、思ったほどにコスト削減ができないこともある。オンプレミスでは柔軟なリソースの拡張ができないため、ピーク時のワークロードに合わせ、かなり余裕のあるキャパシティで運用するのが普通だ。クラウド移行でオンプレミスと同じキャパシティ計画でインフラを用意すると、クラウド化しても思ったよりコストが下がらないのだ。

 クラウドコストの最適化では、メリットである弾力性を十分に理解しピーク時に合わせたキャパシティ設計を見直す必要がある。さらにワークロードの特性に応じた適切な購入オプションを選ぶことも、AWSのコスト最適化では有効だ。「顧客が適切な購入オプションを選ばないと、コストがなかなか下がらないことがあります」と言うのは、アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 事業開発統括本部 統括本部長の佐藤有紀子氏だ。

 AWSには1年、3年の利用を約束すれば最大72%の割引が得られるセービングプランがある。他にも固定的、あるいは需要が安定的なワークロードに適用し最適化できるリザーブドインスタンス、ステートレスなワークロードに対して最大90%の割引も可能となるスポットインスタンスもある。

 クラウド導入時に1回だけコスト削減方策を講じるのではなく、持続的なコスト最適化を顧客は要望する。また一部の部署ではAWSのコストの最適化が上手くいっているが他部署では上手くいかないこともあり、組織横断的にAWSを最適に使うための情報共有も求められる。アーキテクチャー面では、サーバーレスやコンテナ、マネージドサービスなどの活用でコストの最適化が図れる。加えて人材の育成も重要で、クラウドを使うための組織体制を作り上げてコストの最適化に取り組む必要もある。

 AWSでは、顧客のコスト最適化の要望に対し「コスト最適化フレームワーク」を提供している。Cloud Financial Management(CFM)は、移行初期段階のコスト最適化に適用でき、長くAWSを使っている場合にはFinancial Hackathon(FinHack)もある。これらは2020年の4月から提供されている。

[クリックして拡大]

 CFMではAWS Cost Explorerを使いデータを収集し、利用の現状を分析する。結果から実行計画を提示し、顧客がコスト削減を検討し実施する。数ヶ月後には実施した施策の削減効果を見極め、改めてAWSからの支援も提示する。FinHackは、顧客へのヒアリングで課題を明確化するところから始める。その後はAWSの専門家と顧客社内の担当者を組織横断で集め、課題に関するワークショップを開催する。ワークショップには経営、財務、ITなどさまざまな部門から参加することが推奨される。顧客のパートナーも参加し、一緒に取り組むこともある。

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NTTドコモはCMFやFinHackを活用しコスト削減を実現

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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