大きく3種類のデータを分析しているローソン
コンビニエンスストアのフランチャイズチェーンを展開するローソン。国内では14,000店舗以上を運営しており、社員数も連結で10,000人を超える。2019年には企業スローガンを刷新し、グループの経営理念を「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」、ビジョンを「目指すは、マチの“ほっと”ステーション。」と定めた。同時にその実現に向けた行動指針として「ローソンWAY」も5つ設定している。中でも3つ目の「チャレンジを、楽しもう」の精神は、「今回のプロジェクトにも通じるところがある」と渡邉氏は語る。
中長期では「すべてのお客様レコメンドNo.1」を目指しているところだ。「やっぱりローソンがいいよね」と言ってもらえる店舗を作るには、「圧倒的な美味しさ」「人への優しさ」「地球(マチ)への優しさ」の3つの約束で、社会課題に応えていくことを公に宣言している。今回、渡邉氏が担当したデータ基盤構築プロジェクトについても、「すべてのお客様レコメンドNo.1」の実現することが大前提としてあった。
ローソンが持つデータ資産は大きく3つに分類できる。1つは顧客に関するデータで、Pontaカード、dカード、ローソンIDに紐付けられているものだ。次に店舗のデータ。これには、店舗IDに加えて、所在地やオフィス街か住宅地かなどの立地条件のデータが加わる。最後が商品データである。プライベートブランドかナショナルブランドかの分類、商品特性などがある。この3種類のデータを組み合わせて分析した結果を本部、スーパーバイザー、工場、店舗にフィードバックする。本部はマーケティング施策や店舗開発に、スーパーバイザーは店舗経営の指導に、店舗は季節性やエリア特性を加味した棚割りの参考に、工場は店舗への納品にといった具合だ。すべてのデータをパーソナライズした顧客体験の提供に役立ててもらう。これが以降でローソンの進めるプロジェクトの目的である(図1)。