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日本がエストニアから学ぶべき「行政DX」とは GLOCOM 「デジタルガバメント」セミナーレポート

  2021/11/30 11:00

 デジタル先進国として名高いエストニア。日本は2021年9月にデジタル庁が発足したものの、遥か先を行く同国の背中を追いかける立場にある。この記事では、11月8日に国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)が主催したオンラインセミナー「デジタルガバメント」シリーズの模様から、エストニアのこれまでの歩み、現状、そして今後の展望を紹介する。

20年前からデジタル化に取り組んできたエストニア政府

在日エストニア共和国大使館商務官 オリバー・アイト氏
在日エストニア共和国大使館商務官 オリバー・アイト氏

 エストニア共和国は、バルト海の東、フィンランドの南に位置する。その人口は約130万人で、日本の約100分の1。面積は九州と同じぐらいで、天然資源も限られるため、人と知識が同国にとって最も重要な資源である。だからこそ、国民を複雑で意味のない事務作業から開放し、価値創造に集中できるようにしてもらいたい。その思いがデジタル政府発足の強い動機となった。アイト氏は「法律には定められているわけではないが、エストニア人は皆、『インターネットへのアクセスは人権であり、社会の権利』と考えている」と話す。

 現在のエストニアでは、結婚・離婚を除く行政手続きの99%をインターネット上で完結できる。しかもそれを短時間で終わらせることができる。法人登記は数時間、納税手続きも簡単で、アイト氏がエストニアに住んでいた頃の確定申告の手続きは、5分程度で終わったという。

 国民の多くが恩恵を得られるこのシステムは、一朝一夕にできあがったものではない。デジタル化に向けて、エストニアが取り組みを開始したのは2001年に遡る。当時はもちろんコロナ禍による危機を予想していたわけではないが、諸手続きがデジタル化されていれば、人と人との接触を減らしながらも行政やビジネスを継続できる。そのため、世界がコロナ禍に見舞われ、ほとんどの国が機能不全による混乱に直面した中でも、エストニアは国としての活動を維持することができた。アイト氏によれば、行政サービスが中断しなかっただけでなく、ビジネスもコロナ前後でほぼ同程度の水準を維持できたという。

 同国のデジタル政府は各国から高い評価を得ている。例えば、EUが毎年発表している「デジタル経済・社会インデックス」の2020年版によると、「デジタル行政サービス」分野でエストニアは首位。特にサービスの利便性やアクセスの評価が高い。

 翻って日本はどうか。マッキンゼーは、在日米国商工会議所(ACCJ)と共同で実施した調査結果を「2030年に向けた日本のデジタル改革」として、2021年2月に発表した。このレポート内にある「日本のデジタル通信簿2020年版」を見ると、13の具体的指標のいずれでも日本は世界最高水準に及ばない。中でも「デジタル行政アプリを使う市民の割合」はエストニアが99%であるのに対し、日本は7.5%に留まり、大きな隔たりがあるのが現状だ。

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著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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