ウェザーニューズの社内外“両輪のDX”を支えるデータ基盤 国内初の取り組みにSnowflakeと挑む
Snowflake「DATA SHARING LEADERS」:ウェザーニューズ

データを活用したビジネスや組織の運用に先進的に取り組む企業を選ぶ、データクラウド分野でトップクラスのアワード「SnowflakeのData Drivers Awards」。本アワードで、管理されたライブデータを顧客やビジネスパートナーと共有して収益化を図り、データを戦略的な事業資産として活用しビジネスに変革を起こしている企業を表彰するのが「DATA SHARING LEADERS」である。2021年、同アワードに選ばれたのが、世界最大の民間気象情報会社の株式会社ウェザーニューズだ。
データベースの形で安全にデータを共有したい
ウェザーニューズには鉄道や航空会社、さらにはスーパーのような流通企業など多様な企業に対して、きめ細かい気象情報を提供するBtoB事業と、一般の消費者向けに幅広く気象情報およびプラットフォームを提供するBtoC事業がある。同社のモバイル・インターネット事業部 マーケティング&セールス担当の井原亮二氏は、BtoCの部署に所属しながら、様々な顧客に合ったデータを適切なプラットフォームで提供している。
同社ではBtoCのサービスとして、天気とテクノロジーを組み合わせた「WxTech(ウェザーテック)」を展開。陸海空の交通インフラ、小売業、建設業など既に2,500社の導入実績を誇り、主にビジネスと天気の関係を分析するために活用されている。「様々な企業に気象情報のニーズがあります。それに応えられるように、適切な技術での情報提供を推進しています」と井原氏は言う。

マーケティング&セールス担当 井原亮二氏
これまでWxTechの取り組みでは、顧客が利用したい目的ベースで気象情報を渡していたという。目的に応じて、時間や場所を特定することで必要なデータを抽出し提供してきた。「たとえば、ある現場の工事を行うために天気を予測したい。そのためには、その場所の過去の天気情報を取得することが必要となり、個別に情報を抽出することでデータを提供してきました」と井原氏は説明する。
この方法では、目的に適したきめ細かな気象情報が提供できるが、目的が明確化していないとデータを取得できないというデメリットもある。一方で、あらかじめデータベースの形で網羅的なデータを提供できれば、受け取ったデータを自社で保有しているデータと連携させることで、新しい価値を生み出す「DX」で活用できる。こういった要望にいかに応えるかは、ウェザーニューズにとって課題だったという。
企業ごとにセキュリティの壁もあり、それを超えてクラウドでセキュアにデータを共有したい。それを実現できたのが、Snowflakeだった。「Snowflakeはセキュアにデータを共有でき、その上でクラウドプラットフォームに依存しません。我々にぴったりのサービスで、使わない手はないと考えました」と井原氏は語る。
WxTechでデータを活用しているのは、“山の中のキャンプ場で安全を確保するため”などの目的をもった小規模企業から、流通や製造など大手企業まで幅広い。規模や業種が異なれば、利用したい気象情報も異なる。そのため、ニーズに合わせて最適なデータを提供するサービスは今後も継続される。その一方で大手企業では、既に自社にデータレイクを整備し、様々なデータ活用に取り組み始めているはずだ。「そのデータレイクの中で、気象データも合わせて活用したいとの要望がたくさんあります」と井原氏は言う。
気象データ共有の仕組みとして、ウェザーニューズが「Snowflake Secure Data Sharing」を選んだポイントは、セキュアにデータを顧客に渡せることだった。その上でAWS、Azureなどクラウドプラットフォームに依存していないため、顧客が既に利用しているサービスで共有できることもポイントだったという。
「たとえば、顧客企業がAmazon S3でデータレイクを構築している場合、そこに外部から接続できるよう設定してもらい、データをコピーできるようにすることはセキュリティのルール上難しいものがあります。このセキュリティの壁を安全に越えられるのが、Snowflakeのデータシェアリングの仕組みだったのです」(井原氏)
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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