国内で初めてSnowflakeとデータプロバイダー契約を締結
ウェザーニューズでは2021年6月に、国内初となるSnowflakeとのデータプロバイダー契約を結んだ[※1]。実際にデータを共有できるようになるまでには、国内で前例がなかったため苦労する点も多くあったという。たとえば、データシェアリングのための情報のほとんどが英語というだけでなく、ドキュメントに沿って作業しても、“どの段階でどの許可を得るか”などのノウハウがなく、Snowflake側に都度確認しながら進める必要もあったのだ。
「データをアップロードするまでにステップを踏み進めるのですが、前例がなく苦戦しました。とはいえ、Snowflakeに助けてもらうことで、なんとかデータを共有することができています。我々の経験を基にしたノウハウが今はあり、その後日本でもスムーズにデータをアップロードできるようになったと聞いています」と井原氏。また現状では、“どのようなデータが共有できるのか”を登録するデータカタログが英語表記となっているため、日本の顧客にデータを届けるためには今後カタログの日本語化も求められるとも言う。
現在ウェザーニューズでは、データクラウドで高解像度の過去天気データを公開している。これを活用することで、“ビジネスの傾向が天気とどのような相関関係にあるのか”を明らかにできる。たとえば、ビジネスと天気との相関関係を見ようとした場合、従来は気象庁が公開しているアメダスのデータを使うことが一般的だった。しかしながら、アメダスのデータは20kmメッシュのため、コンビニエンスストアの店舗を対象としたい場合、データ取得地点と距離が乖離してしまうため、正確な天気情報とならない可能性は高い。
そこでWxTechでは、1kmメッシュの高解像度のデータを提供する。これにより、気象データがその企業にとって価値あるデータとなり、新たな知見が得られるという。その上でSnowflakeを使うことで、特定のデータだけでなく“基盤”として気象情報を提供できるようになる。これは大きな価値があることだと井原氏は強調する。
また、Snowflakeのデータシェアリングの仕組みを使い、WxTechの気象情報の活用を始めた企業があるという。その企業は既にSnowflakeを活用しており、DXのために外部データの利用も検討、その中で気象データを対象に考えていた。ウェザーニューズのデータ提供は、まさにニーズにマッチしたものとなったのだ。
Snowflakeを使った天気データの提供は、まずは大手企業が使うことになるだろう。とはいえ企業規模や業種などを限定するものではない。「Snowflakeの仕組みは従量課金で使え初期費用も高くないため、小規模の企業でも安心して使えます。マーケティングキャンペーンのベストなタイミングを掴む、さらに過去のデータからリスクを予測するなど、企業規模を問わずに気象データを柔軟に活用できるようになります」と井原氏は説明する。
[※1] 「日本法人初、ウェザーニューズが『SNOWFLAKEデータマーケットプレイス』のデータ提供企業に」(2021年6月8日、Snowflake プレスリリース)