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AI Opsとエッジコンピュータで日本とシリコンバレーをつなぐ ニューグラス 坂本氏の挑戦

 日本人でシリコンバレーのスタートアップで働いた、あるいは起業を経験した人は少なくない。しかし坂本明男氏はNEC社員としてシリコンバレーに渡り30年以上の経験を経て、今なおシニアとし挑戦し続けている。今は日本に帰国してニューグラスを設立し、日本とシリコンバレーの架け橋となっている、その不屈の起業家精神を語ってもらった。

シリコンバレーで生き残るには、資金調達だけではなく人材獲得競争に勝つこと

坂本 明男 NewGras 共同創業者兼CEO/起業家

 坂本明男氏はCPU開発などを経て、1979年からTCP/IPのルーター開発を始めた。「売上が100億円を超えたらアメリカに」という目標を掲げ、1986年に達成し、NECアメリカに出向した。90年ごろまでのNECは半導体や通信で世界トップレベルの企業だった。そのままいれば安泰だっただろう。しかし10年後の1996年、坂本氏は退職を決断する。49歳の事業部長がNECを出て、シリコンバレーで挑戦するというのだ。周囲は騒然とした。

 最初の挑戦はネットワークの負荷を分散する機器、ロードバランサーを開発するホロンテックだった。

 「当時はまだ全世界でWebサーバーが3,000台しか動いていなくて、誰もが『そんなものは必要ない』と言ったものです。今ではロードバランサーのマーケットはコモディティとなり、何千億円の市場です」(坂本氏)

 ロードバランサー製品を販売開始したのは1999年から。ぐんぐんと売れ行きが伸び、世界9ヶ国に支店を開設するまでビジネスを成長させた。ナスダックに上場しようと準備していたものの、ITバブルがはじけてしまい、最終的にはアバイヤに売却。次にデータベースセキュリティのアイピーロックスを起業し、ホワイトハウスに売り込むことも経験した。アイピーロックは2008年にフォーティーネットに売却。こうしてスタートアップとイグジットを何度か重ねてきた。

 もともとNEC時代から事業部長で、起業家に近い立場だった。シリコンバレーでCEOになるとベンチャーキャピタルから資金を調達するなど大きなお金を動かし、暗中模索で重要な決断をするようになる。

 ただしお金よりも大事なのは「いい人を採用すること」と坂本氏は断言する。「シリコンバレーは優秀な人が光り輝いて能力を発揮する世界。その優秀な人が会社に定着するにはストックオプションだけではなく、毎日エキサイティングな意欲を持ち勤務する文化を作ることが重要です。過去に一緒に働いたエンジニアたちは『またアキオと一緒にやりたいね。あんなに楽しかったことはないよ』と言ってくれます。シリコンバレーでは日本と経営の仕方が違うのです」(坂本氏)

 シリコンバレーで優秀なエンジニアが会社を魅力的と感じるためには、次の要素が必要だと坂本氏は指摘する。「新しい世界を作り出すような製品を開発できること」「自分の仕事が家族や友人に自慢できること」「成功できそうな人たちが経営を担うこと」「企業文化が自分に合うこと」「給料や福祉がシリコンバレーの他社と同水準で、成功すれば社員誰もが(ストックオプションを通じて)億万長者になれること」などだ。逆に言うと、これらが欠けていれば社員はあっさりと辞めてしまう。

 「社長1人では会社はできません。従業員が情熱を持って働く会社になれば、成功確率を高めることができます。日本でも昔から『会社は人なり』と言いますが、実際は(シリコンバレーのようなことを)やっていない。実態が違うのです。シリコンバレーで勝つには、人材獲得競争で勝つこと。これがシリコンバレーにおける最大の学びでした」(坂本氏)

 坂本氏は2017年に帰国するとニューグラスを設立し(詳しくは後述)、「日本はまだここまで到達していない」と実感し、日本を変えていきたいと考え、情報発信や啓発にも力を入れている。坂本氏の著書「カッコよく生きてあなたの給料を3倍にする法」(ベストセラーズ)という本では、日本の若手に向けたメッセージを送っている。

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最新鋭で将来有望な製品を見つけて日本に持ち込む、世界に売り出す

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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