ラクスが発起しプロジェクト始動、賛同企業は38社に
紙に縛られない働き方プロジェクトは、「楽楽精算」のラクス、「HRMOS(ハーモス)」のビズリーチ、「クラウドサイン」の弁護士ドットコムの3社が中心となり発足。同プロジェクトは、紙書類のタスク処理に月10時間以上要するビジネスパーソンの割合を「現状の32%から20%以下」にすることを目標に掲げている。2022年3月時点で趣旨に賛同した企業は38社にのぼるという。まずは、プロジェクトを発起したラクス担当者の本松慎一郎氏に設立経緯を訊いた。
──「紙に縛られない働き方プロジェクト」を設立した経緯を説明いただけますでしょうか。
本松氏:ラクスは2000年に創業した会社で、IT技術を使って、中小企業を中心に業務改善、効率化の支援に取り組んでいます。今回のプロジェクト設立もその一環です。これまでSaaSを提供して約10年間、業務改善を支援していく中で、従来の業務のやり方に縛られている企業が非常に多かったんです。特に、バックオフィスはどの企業も今の業務のやり方で回っています。従来業務のやり方を変えてしまうことに、非常に抵抗を感じてることが大きな課題としてあります。多くのバックオフィス業務は、紙書類を前提に組み立てられています。そのため、紙をどうにかしないと、デジタル化やDXに取り組む入口で止まってしまうので、まずは「ペーパーレス化」に取り組むことにしました。自社だけでなく、他社と協力して推進していくため、プロジェクトを立ち上げたんです。
──どうして2022年1月のタイミングだったのでしょうか。
本松氏:新型コロナウイルス感染症の拡大で、多くの企業が半ば強制的にリモートワークや業務のデジタル化への対応が迫られています。オフィスワークあるいはリモートワークといった、柔軟な働き方の実現においても、紙書類を前提とした業務が障壁となってしまっているんです。特に、それらが課題として顕在化した1年だったと思います。そこで、今しっかり取り組んでいけば、ペーパーレス化を推進できるのではないかと考え、このタイミングで設立となりました。
──現在、プロジェクトとして取り組んでいることはありますでしょうか。また、目標達成に向けての展望をお聞かせください。
本松氏:まず背景として、まだまだペーパーレス化が難しいと考えている企業が多いです。創業からずっと紙前提で業務を行ってきたので、それを変えるのは高いハードルがあると思っています。そのため、まずはわかりやすい事例づくりを進めていきたいと考えています。自社と同じような企業が、ペーパーレス化に成功した事例を、たくさん目にすれば「チャレンジしていこう」という、やる気を出すことにつながるのではないかと。また今後、紙に縛られた働き方をしている課題意識がある企業を対象に、モニター募集をすることも考えています。一定期間、サービスの無償提供やコンサル的な取り組みなどを通して、ペーパーレス化の支援をし、その事例を発信していきます。今後も引き続き、プロジェクトの趣旨に賛同いただける企業を募集し、拡げていきます。
続いて各社に、サービスの特長とバックオフィスDXが進まない企業の課題点を訊いた。(次ページよりラクス クラウド事業本部 楽楽精算事業統括部長の吉岡耕児氏、ビズリーチ 取締役 HRMOS事業部 事業部長の古野了大氏、弁護士ドットコム 取締役 クラウドサイン事業本部長の橘大地氏の順に掲載)