
日本オラクルは2022年7月7日、6月から始まった新年度の事業戦略説明会を開催した。三澤智光氏が同社執行役 社長に就任したのが、2020年12月、ここまで1年半ほど指揮を執ったこととなる。直近の米国本社、日本法人の決算結果も良好であり、病院や医療システムで使用されるデジタル情報システムの大手プロバイダCernerの買収など、「ポジティブな話題もあり、Oracleがまた元気な会社に、なってきているという実感がある」と三澤氏は言う。
エンタープライズITの課題はコスト構造の変革と業務の自動化
1995年以降、米国ではGDPが伸びるのに合わせIT投資も増えたが、日本はGDPが横ばいでIT投資は下がっている。今後もIT投資は大きく増えないとの前提で考える必要があると三澤氏。そうなれば以前から指摘されているように、8割が保守に使われていると言われるIT投資のコスト構造を変えなければ、新規IT投資の部分が増えない。もう1つ日本で課題なのが、労働生産人口の減少だ。その上で生産性も下がっている。
これら課題の解決に日本オラクルとして「少しでも貢献したい」と三澤氏は言う。そのために取り組むのが、ITコスト構造の変革とデジタル化による業務の自動化だ。具体的にはエンタープライズITの課題に対処することであり、1つは現行プロセスありきでそれに合わせるためのアドオンやカスタマイズが多い問題を解決する。またベンダー側の都合によるIT基盤の更改や事業継続リスクを抱えたままの基幹システムといった問題にも取り組む。「多くの日本の基幹系システムは定期的なパッチも当たっていません。データベースも暗号化されていません。DRサイトがないか、あったとしても本当に切り替わるかどうかが確かではないものが多い」と指摘する。
もう1つ対応しなければならないのが「行きすぎたクラウド神話」への問題だ。汎用パブリッククラウドが得意なワークロードと不得意なワークロードがあり、不得意なワークロードまで無理矢理クラウド化している現状がある。結果、コストが増大しパフォーマンスが出ないなどで「クラウド化を諦め、オンプレミスで運用するようなことも頻発しています」と三澤氏は言う。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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