1948年設立。独ヘルツォゲンアウラッハに本社を置くPUMAは、世界120カ国以上でビジネスを展開するグローバルスポーツブランドとして知られる。常に“最速”を求めるアスリートに向けたプロダクト開発を通し、各競技に向けたプロダクトとともに、それぞれのスポーツにインスパイアされたライフスタイルプロダクトを提供するブランドだけあって、 週3・4回の新作の展開に対応しながら、最適なショッピング体験を提供するべくサイト改善を続けてきた。そのPUMAが重点的に取り組んできたテーマが「ヘッドレスコマース」である。フロントエンドとバックエンドを分離するシステムへの移行で何が実現できるのか。その狙いをPUMA JapanにてEコマース部門のトップを務める田伏菜穂子氏に訊いた。
ECサイト運営でも徹底している「Forever Faster」

──PUMA入社以前はどんな仕事をしてきたのでしょうか。ご経歴から聞かせて下さい。
商社、外資系IT企業を経てファッション業界に転じました。移った当初は経営企画の仕事をしていたのですが、どうしてもEコマースをやりたくなって社内公募で部署を異動。その後は大規模日系SPA企業のECサイトから、外資系ラグジュアリーブランドのサイトの立ち上げまで一貫してECの仕事に携わってきました。PUMAに入社したのは2019年1月のことです。
──2019年の入社時は、PUMAとしてどんな方針でコマースサイトを運営していた時期なのでしょうか。その後のコロナ禍で方向性に変化はありましたか。
私が入社したのは「モバイルファースト」を掲げ、新しいバージョンの導入を進めている時期でした。ちょうど今利用中のバージョン「SFRA(Store Front Reference Architecture)」の導入を進め、新しいアーキテクチャーに入れ替えようとしていました。コロナ禍以前からEコマースが担う役割、業務の優先順位は変わっていませんが、コロナ禍を経て、私たちEコマースへの経営からの期待は非常に高くなったと感じています。Eコマースはこれまで以上に会社の経営を支え、事業成長への貢献が求められる部門になりました。
──PUMAが今のデジタル戦略で最も重視していることは何でしょうか。
私達がブランドミッションとして掲げているメッセージは、「Forever Faster」です。“速さを求める”アスリートに向けたプロダクト開発を通して、世界で最も速いブランドになるという思いが込められています。この言葉を大切にしつつ、会社全体でお客様に常にスピーディに対応するようにしています。例えば商品開発は常に最速を求めるアスリートたちの期待に応えることを重視し、同様に私たちの部署もお客様にスピーディにサービスを提供することを重視しています。私たちのデジタル戦略において最近注力してきたのがサイトのスピードを速くすること、そしてお客様に新しい機能を早く提供することです。2022年は「API連携によるヘッドレスコマースへの移行」の年として、アーキテクチャーの変革に取り組んできました。また、ショッピングアプリのリリースを控えています。
──ヘッドレスコマースに取り組んできたわけですね。
現在はテスト段階で、前年の基本構想策定を経て、日本側で本格的に取り組み始めたのは2022年春の要件定義からです。前回のSFRA導入は約4カ月で完了しましたが、今回はアーキテクチャーが変わります。その分、少し時間がかかるものの、プロジェクトは順調に進んでいます。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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