Oracle Database 23cのテーマは"App Simple"、開発者にとってやさしいデータベースを目指す
Oracle CloudWorld 2022レポート #3
2022年10月に米国ラスベガスで開催されたOracle CloudWorld 2022では、主力データベース製品の最新版「Oracle Database 23c(プレビュー版)」の姿も明らかにされた。新たな23cの製品コンセプトは「あらゆる開発者にとって、簡単に利用できるようにすること」だ。
シンプル化で開発者に使いやすいデータベース

開発者が使いやすいデータベースのためには、2つのアプローチがある。1つが「全てのデータタイプ、あらゆるワークロードを1つのデータベースで対応するコンバージド・データベースです」と、米Oracle ミッションクリティカル・データベース・テクノロジー担当EVPのホアン・ロアイザ氏は言う。もう1つのアプローチは自己管理、自己修復する自律型のAutonomous Databaseで、シンプルな運用管理を実現することだ。
「23cのテーマは、"App Simple"です。アプリケーションの開発も、構築したアプリケーションを動かすのもシンプルにしました」とロアイザ氏。23cには、300を超える新機能や機能拡張があり、中でもJSON対応の強化、グラフデータベース機能、マイクロサービス対応、開発のシンプル性という4つの領域の強化に注力している。
過去8年に亘り、Oracle DatabaseではJSON対応が進められてきた。23cではそれをさらに進め、ドキュメントとリレーショナルなデータベース機能の二重性を実現した。通常、アプリケーション構築の際のデータ表現はリレーショナル形式ではなく、JSONのようなドキュメント形式でデータを扱うことが多い。「この差分を埋める機能が、JSON Relational Dualityになります」とロアイザ氏。
JSON Relational Dualityでは、データの格納形式はリレーショナルなのでSQLで扱える。同じデータに対しドキュメント形式で透過的にもアクセスできる。つまり「ドキュメントとリレーショナルのいいとこ取りです」とロアイザ氏。開発者はドキュメントかリレーショナルかをあらかじめ選ぶ必要がなく、この機能を利用しても性能に影響するオーバーヘッドもないと説明する。

ドキュメントデータベース関連ではもう1つ「Oracle Database API for MongoDB」も追加される。オープンソースソフトウェアのドキュメント指向データベースであるMongoDBとの互換性を提供するAPIで、これを使えばMongoDBのツール、ドライバ、フレームワークを使用しOracle Database上でMongoDBのアプリケーションを構築、実行できる。また既存のMongoDBを用いたアプリケーションを、変更せずにOracle Databaseに移行可能となる。
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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