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AIが上司に代わり感情をくみ取り評価、NTTとNICEが示した「コンタクトセンターDX」の突破口とは

コンタクトセンター運営ノウハウとAI技術を融合し、業界が抱える応対品質向上の課題解消に挑む

 優れた顧客体験の提供は、ビジネスの成果にもつながる。企業のデジタル変革やスマートフォンの普及で多様化する顧客接点において重視されているのが「コンタクトセンター」だ。コンタクトセンター事業を提供するNTTマーケティングアクトProCXと、コンタクトセンター向けのAI技術などを提供するNICE社は、コンタクトセンターの品質マネジメント基盤をともに構築し、その取り組みは業界でも注目されている。両者のキーパーソンの話から、コンタクトセンター運営のこれからを探る。

応対品質を高めるはずの施策が、問い合せ担当者の負担に

 顧客ニーズを第一に考える企業が増え、Webサイトやアプリなど“デジタルの活用”によってそれを成し遂げようとする動きが活発化している。そこで重要な役割を持つのが「コンタクトセンター」だが、これまで個々のエージェント(問い合わせ担当)への教育では、受ける側が納得いかず、評価する側も労力がかかる不幸なものであった

 コンタクトセンターなどの顧客接点で培ったノウハウとテクノロジーを活用し、顧客体験(CX)のデザインをサポートしているNTTマーケティングアクトProCXは、コンタクトセンター業務の自動化・効率化や対話分析などの先端技術を持つNICE社とこの課題へ挑戦をしている。

 2021年10月両社はBPOパートナー契約を締結し、コンタクトセンターにおける品質マネジメントのデジタル化を実現するDX基盤「ONE CONTACT Quality Management(以下、ONE CONTACT QM)」のライセンス提供を開始。これにより、コンタクトセンター・アワード2022「テクノロジー部門最優秀賞」を受賞するなど、業界から大きく注目されている。

 「ONE CONTACT QM」は、通話音声データや対応履歴データをAIが分析・解析し、基本スキルやコミュニケーション、マインドなど、エージェントに対する27項目の指標を自動評価する仕組み。NTTマーケティングアクトProCXが10年以上培ってきたコンタクトセンター運営ノウハウをベースにした指標を、NICE社のインタラクション分析ソリューション「Nexidia/Enlighten」によって自動解析する取り組みだ。

「ONE CONTACT Quality Management 」が提供する価値
「ONE CONTACT Quality Management 」が提供する価値
[画像クリックで拡大]

 「弊社でもコンタクトセンターの品質改善に課題を感じていました。これまでは、エージェントの応対を指導者がモニタリングすることで指導していましたが、ものすごく時間がかかります。この問題を解決するために、AIを活用しようと考えたのです。また、お客様の感情を推し量ることも評価基準にしており、NICE社のAIならば実現できると思い、導入しました」と背景を語るのは、NTTマーケティングアクトProCXにおいて、コールセンターをマネジメントする部門の統括責任者を務める取締役の元木広幸氏。

NTTマーケティングアクトProCX 取締役/CXソリューション部 マネジメント部門長 元木広幸氏
NTTマーケティングアクトProCX 取締役/CXソリューション部 マネジメント部門長 元木広幸氏

 また、同社でアウトソースの提案や新規ジョブ立ち上げ、サービス開発などを担当するCXソリューション部 西日本営業部長の新谷宣彦氏は「今の時代、提案においてお客様の望む仕様に近づけるというよりは、いかに“付加価値を付けられるか”が非常に重要な差別化ポイントです。今回のシステムは、その点も補ってくれたと考えています」と語る。

 では、NTTマーケティングアクトProCXが抱える課題について、NICE社はどのような提案をしたのだろうか。同社アジア太平洋地域におけるデータ分析、AI関連の責任者であるPhilippe Mercier氏は「日本市場に向けた16のAIモデルを作りました。これまでは、通話応対の評価をしようと思っても、少数の対応内容しかサンプリングしかできず、全ての通話を評価できませんでした。しかしながら、私たちのシステムなら全通話を対象に短時間で評価できます」と自信をのぞかせる。

NICE, Vice President, Analytics, AI and Digital Asia Pacific  Philippe Mercier氏
NICE, Vice President, Analytics, AI and Digital Asia Pacific  Philippe Mercier氏

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AIによる自動評価は工数削減だけでなく、やる気向上にも役立つ

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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