前回のおさらい
「論理思考」「ロジカル・コミュニケーション」というと、「筋道だてて話す」とか「理路整然と話す」といった、話の展開に注目しがちです。が、どんなに手順よく話しても、そもそもピントがずれていたり、考慮に漏れがあると、聞き手は納得できません。まずは、話の中身について、しっかりと吟味することが欠かせません。事前に『検証』を繰り返します。
前回の連載では、論理思考(Critical Reasoning)は、2本柱の『検証』と『根拠』が重要であることを述べました。今回は、『検証』をテーマにして、
- 偏りや、考慮漏れがないかを検証するポイント
- 図解ツールを使って検証する方法
を説明します。
「ニワトリ頭」から「タカ頭」へ
たとえば、上司から、ある仕様変更の作業を2週間ぐらいでやってくれと頼まれたとします。Aさんは、次のように作業項目を洗い出してみました。
- まずは、担当者から引継ぎを受けて内容を理解する
- 現状のコードを調べて、変更部分を特定する
- 修正作業の負荷を考えて、それぞれどれくらい時間がかかりそうか、見積もる
- テストに要する時間も考慮する
Aさんは、作業にとりかかる前に、おおよその時間配分を考えてから着手しようとしています。これは、とても良いことなのですが、作業項目を洗い出す際に、「心の準備」なく、思いつくままに洗い出すと、どうしても目先のことにとらわれがちです。
経験のあるエンジニアであれば、無意識のうちに、次のようなことも考慮しているはずです。
- その変更によって、影響の及ぶ範囲はどれくらいだろう?
- 修正作業が終わったら、単体テストまでやればよいのか? 結合テストまでか? 移行までか? 影響の範囲はどれくらいか? どこまでやるのか?
これらは、全体像を把握することを意味しています。全体観がわからないと、時間、マンパワー、予算など限られた資源を適切に配分することができません。ひいては正確なスケジュールができなくなります。