SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

IT Initiativeスペシャル

「三現主義」を実践し、日本型IT 活用への転換をめざせ~ローランドベルガー会長 遠藤功氏


日本企業の競争力低下を、IT 活用度の低さに帰属させる人は多い。しかし、コンサルタントとして多くの現場に立ち合ってきた株式会社ローランドベルガー会長の遠藤功氏は、IT こそ時には毒となる劇薬であり、誤ったIT の導入が競争力の源泉である「現場力」を毀損していると指摘する。 なぜ、企業の活性剤とされるITが負の影響をもたらしているのか。日本におけるITの功罪について伺いながら、今後のIT活用の在り方をご提言いただいた。

IT 導入による現場軽視が日本企業の競争力低下を招く

 ― 長期化する経済不況のなか、日本企業の競争力の低下が懸念されています。リーマンショックなどの外的要因もさることながら、打開策の1つとして期待されているITによる業務改革が思うように成果を上げられていないことがあるようです。

株式会社ローランドベルガー会長 遠藤功氏
株式会社ローランドベルガー会長 遠藤功氏

 

 そうでしょうね。ただITを導入するだけで成果が上がるなら誰も苦労はしません。むしろ、効果が上がらないだけならまだいいほうで、IT自体が害をもたらしている場合が多いのではないでしょうか。

 ここ15 年ほど様々な技術が登場し、その都度ITは業務改革の救世主といわんばかりの扱われ方をされてきました。ITを導入して効果がなければ「使い方が間違っているのではないか」と現場が責められていたほどです。

 しかし、本当にそうでしょうか。ITは使い方を間違えば企業の存続に影響するほどの打撃を与える「劇薬」なのです。

 私は多くの現場がITによって毀損される状況を数多く見てきました。象徴的な例としてCADが挙げられます。CAD の導入によって、設計者は現場や現物を十分に見ることなく机に向かって設計するようになりました。

 そうしてできた設計図の品質は目も当てられないものですが、当人はできたつもりになってしまう。誰も「CADは使い方次第で便利にもなるし、現場の設計力を損ねる可能性があります」と忠告する人がいなかったわけです。

 こうした事例はSFA( Sales Force Automation)、SCM( Supply Chain Management)、SNS( Social NetworkingService)でも枚挙にいとまがありません。ITの導入によって、客先に行かない営業担当者、現物の在庫を見ない仕入れ担当者が量産されていきました。

 日本の現場力は、現場における人間の創意工夫や問題解決力そのものです。しかし、安易なITの導入が現場にいるべき人間を現場から遠ざけ、考える力を奪ってしまった。さらに、経営者にも現場から離れていてもデータで判断できるとITはいいます。しかし、データだけで未来が見えるわけがありません。

 データは過去であり、“今”を知るには現場に足を運ぶしかないのです。このように、これまで日本が重視してきた「三現主義」の「現場」「現物」「現実」が軽んじられ、結果として日本企業の競争力が急速に低下しつつある。日本企業の崩壊はここに始まったといって過言ではありません。

次のページ
形骸化したITシステムを捨て業務視点から必要性の是非を問う

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
IT Initiativeスペシャル連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

ITイニシアティブ編集部(ITイニシアティブヘンシュウブ)

経営・ビジネス・ITをつなぐ実践情報誌「IT Initiative」編集部  

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/1794 2009/10/29 16:30

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング