RHEL互換ディストリビューションの人気が低下
OpenELA発足の1ヵ月ほど前にSUSEでは、Red Hatの方針が変更される前の一般公開されているRHELをフォークし、制限なく誰でも利用できるRHEL互換ディストリビューションを開発、保守すると発表している。このために数年間で1000万ドルの投資も明らかにした。SUSEは、独自にエンタープライズ向けLinuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise」を提供しており、SAP ERPやOracleの製品など、多くのエンタープライズ用途のソフトウェア稼働環境として実績がある。
SUSEでは、RHELの互換ディストリビューションの提供はこれまで行っていない。しかしエンタープライズ向けのLinux提供ベンダーの経験とノウハウを生かし、RHELだけでなくCentOSも対象にした独自のマルチプラットフォームのサポートサービス「SUSE Liberty Linux」を2022年から提供している。
Rocky LinuxもRed Hatの動きに対し、Linuxのオープンソースをオープンに保つようにと題したブログを公開し批判した。今回のOpenELAの動きには参画していないが、RHELの互換ディストリビューションを提供しているAlmaLinuxも同様にRed Hatの動きを批判しており、ニュースなどを見ているとRed Hatへの不満が多いように見えた。ところが、状況はそうとも限らないようだ。
オープンソース・ソフトウェアを利用したシステムの提案、構築を行っているデージーネットが2023年7月に行った「今後利用したいLinuxOSについてアンケート調査」によれば、2022年と比較してRocky Linuxが20%から3%へと激減し、AlmaLinuxも36%から26%に減少している。一方RHELは17%から24%と増加しているのだ。
セミナー参加者を対象にしているためサンプル数が少ない調査なので、これが世の中の状況を正確に反映しているとは限らない。しかしRHELの互換ディストリビューションにとっては、互換性の維持が難しくなることで厳しいビジネス環境となることは予測できる。今後は現状参加していないRHELの互換ディストリビューションベンダーなどが、OpenELAの動きに積極的に賛同し大きな動きが生み出される可能性もある。OpenELAの認知度が向上すれば、この状況にも変化が訪れるだろう。