自然な会話と変わらないテキストを生成できるのが鍵
「生成AIファーストの働き方が当たり前です」──こう語るのは日本マイクロソフト エバンジェリストの西脇氏。
Copilotは、2023年6月からアーリーアクセスプログラムが始まっており、まずは英語圏の企業や組織を対象に機能や性能をテストし、製品化に向けフィードバックを得ている。日本語版の提供は、2023年後半だと考えられる(※編集部の予想)。普段の業務の中で、当たり前のように使っているWordやExcel、Teams、これらに生成AIのパワーが融合されるとどのような変化が訪れるのか。
人々にとって、もはやWordやExcel、PowerPoint、さらにはOutlookやTeamsなどは仕事をする上で必須のツールだ。仕事に必要な基盤とも言える。「これらを上手に使いこなせないと、生産性が高まらず仕事に苦労することとなるでしょう」と西脇氏。YouTubeなどにも、Excelなどを使いこなすテクニック紹介や解説動画が山のようにある。この必須のツールが生成AIで強化されることで、生産性が向上することは間違いない。
ところでOpenAIが2022年11月30日にChatGPTを公開する以前から、マイクロソフトはAIについてさまざまな取り組みを行ってきた。マイクロソフトは、1991年に「Microsoft Research」を設立し、同研究所では自然言語処理や画像認識などの基礎研究を行い、機械学習や深層学習などの応用研究にも力を入れてきた。研究開発されたAI技術は製品やサービスに実装され、Office 365やAzureなどの製品、CortanaやAzure Bot Serviceなどのサービスに活用されてきた。
こういったAIの取り組みを積み上げてきた上に、さらに生成AIが加わる。「現在はAIの歴史の中でも、生成AIというとてつもない大きな変化の時代です。これまでもAIに数多くの取り組みをしてきたマイクロソフトとして、当然生成AIにも真剣に取り組みます」と西脇氏。実はChatGPTが公開される前の2022年夏頃から、西脇氏は生成AIに関連する内容の講演が増えていた。その頃はまだ画像の自動生成などが少々話題となっているに過ぎなかったが、この後大きなブームがやって来る予感はしていたと振り返る。
マイクロソフトでは2019年からOpenAIに投資している。当初の段階で10億ドルの投資をしており、その後複数年で100億ドルを投資することも明らかになっている。マイクロソフトとOpenAIの協業の関係は既に3年に亘り、「OpenAIとマイクロソフトが今の生成AIブームを作ったとも言えるでしょう」と西脇氏は言う。
ChatGPTは、これまでの大規模言語モデルと何が違ったのか。1つは品質だ。人がしゃべるのと変わらない自然な会話のようなテキストを生成する。ここにテクノロジーのブレークスルーがあった。もう1つはユーザーインターフェイスが良かった。それまでのAIは学術研究の結果のようなもので、専門技術を持った人がパラメータなどを調整しながら利用するものがほとんどだった。一方でChatGPTは慣れたLINEやWhatsAppを使うように、質問を投げかけるとAIが応える。それをフリーミアムのモデルで公開したことで、一気に利用が拡大した。利用が増えさらに技術が進化し、答えの精度も向上している。