マルチクラウド運用の標準化と拡大を促進
イベント冒頭、HashiCorp Japanのカントリーマネージャーである花尾和成氏が登壇し、世界におけるクラウドの利用状況について解説。
HashiCorpが毎年行っている年次調査「HashiCorp 2023 State of Cloud Strategy Survey」から、昨今における企業のクラウド活用の傾向が浮かび上がるとして花尾氏は、今年の調査結果の特徴として以下3点を挙げる。
- 先行き不透明なマクロ経済環境下でも「クラウド支出が増えた」と回答した企業が全体の56%
- 企業におけるマルチクラウド運用における障壁として「スキル不足」がトップ
- 2点目の解決策として「プラットフォームチームがクラウドの導入、標準化、拡大を行っている」と回答した企業が92%
IT環境がダイナミックに変化する中、環境に適した組織体制、運用モデルを確立することが求められている。こうした状況下で、HashiCorpが提唱するクラウド運用モデルは“3段階”で考える。1段階目は「導入」だ。まずは課題解決の戦術としてクラウド利用を始めるものの、バラバラに導入するため非効率さや属人化があり、セキュリティリスクの懸念もある。2段階目は「標準化」。運用を標準化することで開発生産性や運用効率を向上させる。ここには技術リーダーやCCoEなどのリーダーシップが欠かせない。3段階目は「拡張」だ。オンプレミスやプライベートデータセンターにも“クラウド同様”の運用モデルを延伸する。
たとえば、仮想化環境でのリソース提供に数日や数週間かかっていたものが、クラウド環境における自動化によって数分に短縮できたとしたら、大きなビジネスアジリティを得られるだろう。花尾氏は「クラウドでもオンプレミスでも、同じ運用モデルを確立することで、ビジネスアジリティとセキュリティをより両立できます」と強調する。
では、クラウド運用モデルをITインフラのレイヤーごとに分け、該当するHashiCorp製品を割り当ててみるとどうなるだろうか。まずインフラのプロビジョニングと管理のレイヤーではTerraformやPacker、セキュリティレイヤーではVaultやBoundary、ネットワークレイヤーではConsul、アプリケーションレイヤーではNomadやWaypointがある。これらの製品を活用することで、花尾氏は「ビジネスに『コスト最適化』『リスク極小化』『スピード向上』といった価値を提供する」と力を込めて話した。
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