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チームスピリット新CEOに道下和良氏が就任 荻島氏からの“3つのバトン”、今後の成長戦略を尋ねる

日本オラクルやセールスフォース・ドットコム、WalkMeなどで培った経験、どう活かす

 ERPのフロントウェアとして勤怠管理や経費精算、工数管理、就業管理、電子稟議などの機能を提供する「チームスピリット」。同製品の開発・販売を手がけているのがチームスピリットだ。創業時から代表取締役として牽引してきた荻島浩司氏が退任し、日本オラクルやセールスフォース・ドットコム(現セールスフォース・ジャパン)の営業部門、さらにWalkMeの代表取締役、LINE AIカンパニーCCOなどを歴任してきた道下和良氏が、新たに代表取締役 CEOに就任する。このタイミングで道下氏はなぜチームスピリットのCEO就任を引き受けたのか、同社のさらなる成長のためにどのような戦略を描いているのか、話を訊いた。

チームスピリットに大きな可能性を感じた

 道下和良氏は2022年7月、当時LINE AIカンパニー CEOであり、日本オラクル時代の同僚でもある砂金信一郎氏に誘われ、カンパニーCCOとして同社のビジネスを推進。その後LINEとヤフーの再編にともない、2023年4月1日にワークスモバイルジャパンにLINE CLOVAの事業が統合されるまで一連の業務を担い、一段落ついた2023年8月頃に営業顧問として関わってきたチームスピリット社からCEO就任の打診を受けたことを明かしてくれた。

 「チームスピリット」は、AppExchangeと呼ばれるSalesforceのプラットフォーム上で提供されるSaaS製品。AppExchangeの国内製品として大きな実績があり、チームスピリット社は2011年10月にはセールスフォース・ジャパンと資本提携に至っている。

 道下氏はセールスフォース・ジャパンからの紹介もあり、2022年春頃からチームスピリット社のエンタープライズ・ビジネスに係わるアドバイスをするように。その後、2022年12月からは営業顧問に就いており、そこであらためて社内から同社のビジネスを俯瞰した道下氏は「極めて大きな可能性がある企業だと思いました。SAPやOracleなど外資ベンダーの存在感が強い市場において、コア業務を担うようなソリューションを提供できている日本のSaaS企業はいません。その状況下、チームスピリットの製品領域は決して広くありませんが、領域特化型のエンタープライズ・ビジネスとして、大きなポテンシャルがあると感じました」と話す。

 セールスフォース・ドットコム在籍当時、チームスピリットのイメージは“中堅中小企業を対象にしたサービス”とのイメージが強かったと道下氏。そこから時を経て、2022年春頃に荻島氏と出会い、これから本格的にエンタープライズ領域に注力したいとの話を聞くと「おもしろそうだ」と可能性を感じ、営業顧問としてエンタープライズ領域のビジネスについてアドバイスを行うと、それらが結実する様子も見てきたとして「チームスピリットのこれからの仕事に、やりがいを感じました」とも言う。実際に直近のチームスピリット社では、1万ユーザー以上の大規模なビジネスの契約が増えているだけでなく、SAPとの協業も深まっている。

「エンタープライズでのビジネスを本格化することは決して夢物語ではなく、(業績拡大に向けた)現実的な成長戦略なのです」(道下氏)

チームスピリット 代表取締役 兼 CEO 道下和良氏
チームスピリット 代表取締役 CEO 道下和良氏

 なお、新CEOへの就任にあたり、前任者である荻島氏からは「エンタープライズ・ビジネスの本格化」「新規事業を興す」「チームスピリット社をより良くする」という3つのバトンを受け取った。エンタープライズ向けに機能拡張を続けきた「チームスピリット」がある中、前述したように営業顧問時代からの施策が実を結びだしたことはもちろん、新規事業も着実に進展している。「エンタープライズ事業が強固になると、自ずと新規事業も動き出すはずです」と道下氏。一般的にシングルプロダクトならば、大手企業だけを狙うのではなく、採用社数を増やす戦略を採るために中堅・中小企業をメインターゲットとすればよい。「あえて要求の厳しいエンタープライズ領域でビジネスをするならば、たとえば勤怠管理から導入してもらい、そこから拡大していくようにアプローチしていきます。つまりはエンタープライズ向けのビジネスを立ち上げることは、新規事業を興すことになるのです」と説明する。

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事業拡大を狙うチームスピリット 焦点は「生産性向上」の訴求か

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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