“収益の拡大”と“顧客満足度向上”を実現
ビジネス・イベント処理ソリューションが活用できる局面は多い。横谷氏は、その一例として同社が提供するIBM WebSphere Business Eventsによる事例紹介した。
まずは“収益の拡大”。ある欧米大手損保企業では、保険の見積もりをWebで行えるようにしたところ、たくさんの潜在顧客がこのシステムにアクセスするようになった。しかし、見積もり提供数とは裏腹に、成約にはなかなか結びつかないという悩みを抱えていた。そこで、ビジネス・イベント処理の活用に至ったという。
“見積もり依頼があったのに、3日後も見積もり結果を確認していない”場合は、“お客さまに契約を促すE-Mailを発行する”などといった具合に、Web見積もりを適切にフォローする仕組みをビジネス・イベント処理で開発した。
システムの実装自体は2週間程度で完了し、稼働1ヶ月で初年度に予定していたROI(Return On Investment)をクリア。また、ビジネス・ユーザーが独自に、ルールの定義・変更できるため、事業環境が変化しても迅速に対応できるようになったという。
また“顧客満足度向上”の事例もある。ドイツのハノーバー大学病院は6000人のスタッフを擁する大規模な医療施設。毎日数万人規模で患者が訪れる同院では、医療上必要な患者の優先順位づけがうまくできず、長い待ち時間を強いてしまうという課題を抱えていた。
ここでも、ビジネス・イベント処理が解決の鍵となった。位置情報を検知するためのGPS端末を使い、来院した患者の位置をトラッキングシステムでモニタリング。待ち時間と地図情報、病状による優先順位などとの関連づけを行った上でダッシュボードに表示できるようにした。
医師は、システムにより提供された情報を見て、次に診察すべき患者を決定するわけだ。同システムの導入により、診察の優先順位づけが最適化されるとともに、患者の待ち時間も軽減。さらには患者の安全確保が高いレベルで行われるようになったという。