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特集:年末特別インタビュー

【特集】激動の2023年をどう振り返る? 企業のITリーダーたちが語る足跡、そして2024年への展望

2023年末特別インタビュー:CIO/CISO編


 2023年は、まさに「生成AI元年」と言える1年だったのではないでしょうか。多くの企業から、生成AIを利用したサービスが発表されました。そしてさらに多くの組織では、それらをいかに活用できるかが、熱く議論されました。この2023年ほど生成AIについて盛り上がった年は、これまでの時代にはなかったことでしょう。一方で、生成AIは恩恵だけでなく、サイバー犯罪や必要となるエネルギー、データガバナンスといった新たな課題もまた生み出しています。そこで、この激動の2023年において、企業の第一線で活躍するITリーダーたちは何を考え、どのようなことに取り組んできたのか。そして、2024年をどのように見据えているのかを訊いてみました。

以下、7名のCIO/CISO職域の方にコメントをいただきました(氏名・五十音順)。
UCCホールディングス 黒澤俊夫氏、楽天グループ 黒住昭仁氏、日本電気 小玉浩氏、東芝 下田秀一氏、富士通 福田譲氏、NTT 横浜信一氏、ISC2 Jon France(ジョン・フランス)氏。

スマートファクトリー・デジタルツイン環境元年へ
(UCCホールディングス 黒澤俊夫氏)

2023年を振り返って

 UCC―ICT/デジタル戦略の下、2023年は4つの大きなプログラム(ERP、SFA、BI、O2C)にフォーカスし、それらを前に進められた事が今年の大きな収穫です。

 ERPはこれまでの基幹システムを中心とした業務からグローバル展開を見据えてクラウドネイティブのOracle ERPへとシフト。UCC-SCMから本格的に開始し、国内10工場へと展開し完了させたことで、今後のグループ展開への道筋を付けました。

 BIでは、これまでのオンプレDWHからAzure環境へまったく新しい軸で展開し、それと同時にビジネスサイドから若手を中心にメンバーを選出し、一緒になってBIコミュニティーを立ち上げています。

 O2Cは、業務用卸ビジネスでの受注周りの改善と顧客体験の向上でServiceNow CSMをベースとした、B2Bポータルをリリースしました。

 これによりまだまだ残るアナログ受注とそれに付随する関連業務のデジタル化を図りつつ、お客様のセルフサービス化も進めます。まだ目が出たばかりですので、来年以降大きく育てて行きます。

UCCホールディングス
執行役員 CISO
黒澤俊夫氏

外資系企業を中心に25年以上のITキャリアを持つ
エンタープライズICT/デジタルのプロフェッショナル。
2019年9月入社、2020年7月より現職。2021年6月からはグループIT子会社、
株式会社ユーコット・インフォテクノの代表取締役社長を兼務する。

2024年の展望

 2024年も4つのプログラム(ERP、CRM、AI/BI、IT/OT)を中心に展開する予定です。
ERPは国内グループ展開を継続していきます。昨年、一年プロジェクトを進めてきたおかげで、色々と学びも多く、2024年は更に導入を加速します。もう無駄に要件定義に時間はかけません。

 AIについては、2023年に仕込んできました、Azure Open AIの環境を1月からCopilotと共にリリースしますので、これらを最大限に活用していきます。その入り口となるPCもグループ全体でWindows11への入れ替えを予定しています。

 CRMは、これまでのSFAとO2Cの考え方を繋げた、カスタマーエンゲージメント強化を目的とした新たなプラットフォームとしてリリースを予定しています。特にCSMの部分は既存業務を新たにデザインする事とセットでドライブしていきます。

 IT/OTはこれまでの“工場は別ね”の考え方を改め、より融合を進めていき、ERP導入で揃ったベースラインを活用し、スマートファクトリー・デジタルツイン環境を整えます。2024年は、その元年として整備を進めていきます。

「AI-nization」のさらなる推進を目指す
(楽天グループ 黒住昭仁氏)

2023年を振り返って

 私自身、2023年5月よりCIOとして、楽天グループが提供する70以上のサービスを有機的に結び付けて形成する独自の経済圏「楽天エコシステム」を支えるテクノロジー全般をリードしておりますが、マルチクラウド化によるサービスレジリエンシー向上や、情報セキュリティの継続的な維持・向上など、お客様に安心して楽天グループのサービスをご活用いただくための取り組みを進めてまいりました。

 さらに今年は、AI化を意味する造語「AI-nization(エーアイナイゼーション)」をキーワードに掲げ、AI技術のさらなる発展・活用を推進いたしました。楽天のユニークなデータアセットを活用した独自のAIモデル「Rakuten AI」が、「楽天エコシステム」の重要なコアテクノロジーであるといえます。

 具体的には、生成AIを活用したサービスの発表、OpenAI社との最新AI技術によるサービス開発における協業での基本合意、さらに新プラットフォーム「Rakuten AI for Business」の発表など、AIを通じて社会をエンパワーメントするという楽天の前向きな姿勢を皆様にも感じていただけた1年であったと考えております。

楽天グループ
専務執行役員 CIO (Chief Information Officer) & CTO (Chief Technology Officer)
黒住昭仁氏

関西大学社会学部卒業後、1997年に日本電信電話株式会社(NTT)に入社。
4年間をNTTで過ごした後、2002年楽天株式会社(現、楽天グループ株式会社)に入社。主に開発部門で勤務。2008年に執行役員に就任。2013年にはRakuten USA, Inc.の開発部のバイス・プレジデント就任、2019年上級執行役員を経て、2022年4月専務執行役員(現職)に就任。コマース&マーケティングカンパニーのテクノロジー領域における長年のリーダーシップに加え、2023年5月にはCIO、同年9月にはCTOに就任。「楽天エコシステム」をテクノロジーの面から牽引している。

2024年の展望

 2024年においても、楽天グループのサービスレジリエンシー向上や、情報セキュリティ、データプライバシー管理の強化など、お客様へ安心・安全なサービスをご提供する取り組みを継続するとともに、「AI-nization」のさらなる推進を目指してまいります。

 「データやAIの利活用」が引き続き大きなテーマとなると思いますが、それによって最も変化があるのは、時間の使い方だと考えています。楽天としてもデータ・AIの利活用により、マーケティング効率20%アップ、オペレーション効率20%アップ、パートナー企業様の効率20%アップを目標に掲げています。

 様々なデータへのアクセスが飛躍的に速くなることで、よりクリエイティブな検討に時間を充てられるようになります。まずは従業員のスキル・生産性向上に取り組み、さらにそれをパートナーの皆様へも還元できるよう、よいサイクルを確立したいと考えています。

 楽天では今後も、常識にとらわれることなく、社会に新たな価値をもたらすことができるよう、AIなどの最新技術の活用に取り組んでまいります。

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「正解」の無い時代だからこそ共創を通じた価値創出へ (NEC 小玉浩氏)

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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