SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

EnterpriseZine Press

ServiceNow米国イベントにてCEOビル・マクダーモットがAIビジョンを発表、富士通COOが戦略的パートナーシップを語る

ServiceNow「Knowledge 2024」レポート

 ServiceNowは、現地時間5月7日〜9日の3日間、米ラスベガスで年次カンファレンス「Knowledge 2024」を開催し、多くのアップデートを紹介した。この記事では、初日の基調講演のホストで登場したビル・マクダーモット氏の話から、ServiceNowの生成AI戦略を支える哲学を探る。富士通との関係強化、パートナーシップも明らかにされた。

ServiceNowのAIビジョン、「Put AI to Work(for People)」とは

ServiceNow 会長兼CEO ビル・マクダーモット氏
ServiceNow 会長兼CEO ビル・マクダーモット氏

 今回のイベントのテーマは「Put AI to Work(for People)」。これには「人のためにAIを働かせる」という意味が込められている。2018年から、ServiceNowは、システムに合わせることなく、人を中心にサービス体験を再設計する「デジタルワークフロー」の提供を通して、DXに取り組む企業の支援に取り組んできた。業務領域に合わせたSaaSとして提供するワークフローも、元々の強みである「Technology Workflows」から、「Customer Workflows」「Employee Workflows」「Financial & Supply Chain Workflows」「Creator Workflows」「Industry Workflows」まで増えた。イベントのテーマの「for People」を「顧客のために」「従業員のために」「開発者のために」と、働く人たちの役割に置き換えて読み替えると、ServiceNowのAIに対するスタンスが見えてくる。

図1:ServiceNowの製品アーキテクチャー 出典:ServiceNow [画像クリックで拡大]

 ServiceNowの顧客、パートナーが集まるコミュニティは着実に成長している。「世界100カ国、8,000社超の企業、そこで働く1億1500万人の人たちが創り出す経済価値は20兆ドルを越える。昨年だけでもServiceNowは232億件のワークフローを実行した。ビジネスの自動化で、大企業はDXを進めている。生成AIが登場したことで、世界中のあらゆる業種業態、あらゆる企業、あらゆるビジネスプロセス、あらゆるワークフローが生成AIで再設計される。IT業界のルネッサンスが起こるだろう」とマクダーモット氏は述べ、生成AIのServiceNowのビジネスにおける重要性を強調した。

 なぜ企業はビジネスプロセスやワークフローの再設計に取り組むべきなのか。その理由は、プロセスが壊れていて、体験を損なうひどい状態にあるためだという。働く人たちは、1日あたり平均で13種類のアプリケーション間を行ったり来たりしていて、その生産性の30%が損なわれてしまう。この課題を解決するのが、エンドユーザーが1つの画面からサービスにアクセスできる「1枚のエクスペリエンスレイヤー」になる。このレイヤーをServiceNowでは「プラットフォームのプラットフォーム」と呼んでいる。ServiceNowの生成AI機能は、エクスペリエンスレイヤーと業務システムのオーケストレーションを行うワークフロー自動化レイヤーとの間のインテリジェンスレイヤーに集約されており、このアーキテクチャーが企業のビジネス変革を後押ししてくれることになる。

図2:ビジネス変革のためのAIプラットフォーム 出典:ServiceNow [画像クリックで拡大]

マクダーモット氏が語る「生成AIによる10億時間の生産性向上」

 マクダーモット氏が過去12カ月間に200人以上のCEOと個別に会って実感したところによれば、CEO全員が自社のAI活用の現状に大きな関心を寄せている。なぜならば、今日の企業で働く人たちが負担に感じている仕事の7割が、AIで排除できるからだ。多くのCEOたちも、AIがビジネスに影響を及ぼすことをよくわかっている。IDCは、今後3年間における世界経済にAIが及ぼす影響は5兆ドルに上ると予測している。しかし、これはマクロ市場の見方だ。ServiceNowを導入しているような企業で働く人々の関心事は、自分たちの仕事がどう変わるかの方にあるはずだ。

 イベント前日のプレス向けブリーフィングの場で、「ビジネス変革のための生成AIを搭載したServiceNowのユースケースを調べると、10億時間の生産性を実現する余地があるとわかった。働く人たちの目の前には、生産的で豊かなビジネス活動に従事できるポテンシャルがある。世界中の企業のあらゆるワークフローに生成AIが組み込まれ、各自の仕事のスピードアップが実現することで、生産性向上が実現される」とマクダーモット氏は語り、ServiceNowのTAMを2,750億ドル相当と見積もった。この金額はCRM市場の規模に匹敵するという。

 企業がビジネス変革に取り組むことには、ServiceNowのビジネス成長以上の意義がある。たとえば、保険会社であれば、契約者からの保険金請求を管理するプロセスが変わるだろう。製薬会社であれば、新薬が市場に出回るまでのボトルネックである臨床試験プロセスが短縮することもありうる。ビジネスプロセスを変える。それも生成AIを活用して、既存のプロセスを再定義することで、保険契約者や難病に悩む人たちなど、社会全体をより良いものにすることに貢献できる。

 しかし、このビジネス変革の邪魔をする存在がある。それは企業内システムの複雑性だ。クラウドファーストが当たり前になって以降、企業はエンタープライズSaaSの導入を進めてきた。国内でもERPやCRMの領域ではSaaSを第一選択肢とする企業が中心だ。とはいえ、SaaSの導入では、スモールスタートが好まれることから、部門ごとに異なる環境で仕事をしている企業は少なくない。また、オンプレミスのシステムが残っていること、国内ではスクラッチ開発のシステムが多く残っていることが、ビジネス変革の阻害要因になる。マクダーモット氏は、ServiceNowがこのシステムの複雑性を解消し、ビジネスの俊敏性を高める「ビジネス変革のためのAIプラットフォーム」になると述べた。

次のページ
富士通COO高橋氏、関係強化とパートナーシップ拡大戦略

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/19660 2024/05/14 09:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング