NEC(日本電気)は5月30日、同社のDX事業の核である「NEC Digital Platform」を進化させた価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」を発表。様々な領域からメンバーを集めた、約400人体制の横断的事業推進組織を新たに設置し、DX事業を強化していくという。
Blustellarの名称の由来は、イタリア語で「Blu(青)+Stella(星)」。NEC自身や顧客のビジョン達成に向け、「お客様や社会をリードしていく存在になりたい。夜空で最も明るく輝く星のように、人々と社会が進むべき目印となる星になる」という想いが込められている。また、語末に「r」をつけることで、さらに強く、主役のような意味合いを付け足しているという。
BluStellarは、同社の中期経営計画達成に向けた成長エンジンと位置づけられている。取締役 代表執行役社長 兼 CEOの森田隆之氏は冒頭、「日本のデジタル競争力は依然として低く、深刻なDX人材不足も解決していません。多くの企業が『現事業の競争力向上』や『ビジネスモデル変革』を目指してDX推進に取り組んではいるものの、十分な成果が出ている企業はまだまだ少ないのが現状です」と述べる。
Blustellarでは、顧客とともに実現する価値(経営アジェンダ)として次図のように掲げている。
森田氏は、「NECは、かつてのシステムインテグレーター(SIer)から『システム・バリュードライバー(価値創造をリードする会社)』になる」と説明。旧来のSIerは個別SIや受託、人力といった事業モデルであったが、そこにAIによる自動化、自律化、標準化が加わり、同社はさらなる品質とスピード、さらには企業成長に結びつく“価値創出”を実現できるようになるのだという。
BluStellarが掲げている3つの原則は以下のとおり。取締役 副社長 Senior EVP 兼 CDOの吉崎敏文氏は、「BluStellarは抽象的な概念やソリューションのことではない」と強調した上で、価値創造モデルを構成する各分野について解説した。
1. AI for all Process:AIをフル活用したビジネスプロセス変革
構想策定からサービスデリバリー、運用・保守に至るまで、すべてのプロセスにAIを活用する。コンサルティングサービスにおいては、顧客の構想策定を支援するAIコンサルタント約100人を設置。経営アジェンダの解決にデータサイエンスを融合させることで、スピーディな実装を目指すという。また、AIによるプロセスの高度化によりデリバリースピードと生産性を高め、顧客への迅速な価値提供を実現するとしている。
2. AI & Security:先端テクノロジーの集約、AI/生成AIとセキュリティをキーに
業務プロセス変革を実現する「AI」と、それを含むあらゆる技術の安全・安心な運用に欠かせない「セキュリティ」をキーテクノロジーと捉え、これまで培われてきた同社の先端テクノロジーをBluStellarに集約。サービスへと変換して顧客に提供するという。また、ビジネスとR&D(研究開発)のシームレスな連携を強化し、先端テクノロジーの市場投入スピードを加速するとしている。
3. Collaboration & Co-Creation:オープンなエコシステムによる共創
AWSやマイクロソフト、オラクル、SAPなどといったグローバルハイパースケーラーとの協業や共創パートナープログラムなど、約400社とのパートナーとビジネスを強化・拡大。また、2025年に向けて社内のDX人材1万2000人創出を目指すという。加えて、社内で蓄積したノウハウをもとにしたDX人材育成プログラムを、約420社、約3万人以上の顧客に提供するとしている。
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