脱メインフレームで、データドリブン経営への道が拓く
AWS Mainframe Modernizationを使った移行作業以外にも、ジョブ数を約15,000から2,300まで減らしたり、帳票の紙印刷を排してPDF化することで年間9万枚の紙を節約したり、それまで24時間365日体制の監視体制を敷いていた運用体制を自動化・省力化するなど、運用のあり方を大幅に見直した。バックアップ運用についても、メインフレーム時代には43Tバイトものデータをバックアップしていたが、これも根本的に見直して4Tバイトまで減らすことができた。
またAWS Mainframe Modernizationではサポートされていない「アセンブラ言語で記述したプログラム」の移行については、別途自前で再構築作業を行った。
こうした対応を進めて脱メインフレームを果たしたことで、「『2025年の崖』の問題はすべてリスクヘッジできました」と河合氏はその効果について自信を見せる。
「モダナイズした後のシステム運用コストは、旧メインフレーム環境の年間維持コストと比べて80%削減できる見込みです。また基盤を最新化したことで、これまでメインフレームの中に閉じ込められていたデータがより活用しやすくなり、データドリブン経営をさらに加速できるようになりました」
今後は新たに構築したデータ基盤のメリットを活かし、最新のAI技術も組み合わせた上でより高度なデータ活用にチャレンジしていきたいと同氏は抱負を述べる。
「今回AWSにデータ基盤を移行したことで、AWSの各種サービスを使ったデータ利活用の可能性が拓けました。既に『Amazon Q in QuickSight』のPoCを開始しており、将来的にはこれを使って高度なデータ分析を自然言語で簡単に操作できる仕組みの実現を目指しています。今後もこうした最新技術を活用しながら、経営に貢献できるデータ活用の道を模索していきたいと考えています」