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今、国産生成AIビジネスが熱い!4つの「日本型AIソリューション」から見えてきた可能性


NEC :cotomiによる基幹システムモダナイゼーション

 NECは、自社研究所で開発したLLM「cotomi」を活用し、基幹システムの刷新を進めている。DX実現の一環として、データドリブン経営を目指す次世代デジタル経営基盤の構築を視野に入れており、具体的にはSAP ERPのクラウド移行を推進している。

 その移行に伴う開発の向上を目的に、SAPの生成AIツール「Joule」と併用して、自社開発の生成AI「cotomi」も併用しているのだ。

(出典) NEC [画像クリックで拡大]

 cotomiの主な特徴は、高速性と軽量ながら高精度な処理能力にある。特に日本語処理に強みを持ち、「Light」と「Pro」の2つのエディションを提供している。さらに、マルチモーダル対応も進行中で、将来的には文字だけでなく、画像や音声を組み合わせた入力にも対応する予定だ。

 NECのプロジェクトチームでは、「2024年9月末を目標に、設計書の変換とコード生成の精度検証を行う」計画がある。従来の「Excel方眼紙」形式のレガシー設計書の情報を、cotomiによって整理し直して、概要設計書を作成。その情報を詳細設計書に展開し、最終的にはコードの自動化まで実現するという。

 さらに「テストシナリオの生成とテストコードの生成も計画している」(同プロジェクトチームの関徳昭氏)。cotomiが画像データ対応によって、テスト結果レポートの分析までを行い、全てのフェーズで利用の検証を進めているのだという。

日本型AIビジネスの勝機とは

 ここまで、今年前半の国内の生成AIビジネスやLLMの取り組みを見てきた。もちろんこれ以外も注目すべき取り組みや事例があるだろう。実をいうと筆者は当初、日本独自の生成AIの取り組みや独自LLMの開発には懐疑的だった。グローバルなビッグテックのAIの争いの中で、竹槍で参入するような印象だったからだ。しかし、直近の事例からその印象は変わり、期待を感じるようになった。

 Ridgelinez、ELYZA、NTT、NECの事例から見えてきたのは、大規模投資に頼らない小規模かつ柔軟なAIの仕組みだ。これらの特徴は、現場対応と業務変革がメイン、必ずしも全社的な導入を前提とするものではない。記事作成、既存の技術や現場の知見を基盤として、徐々に積み上げが鍵となる。日本語処理に優れ、セキュリティや運用効率を考慮した実用的なアプローチは、今後も日本型AIソリューションの強みなのかもしれない。日本企業の細やかな対応力と技術力で、AIビジネスにおける新たな価値を創出していくことを期待したい。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長1978年生まれ。立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア...

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