BIにおける二極化するニーズ
ここ最近、BI(Business Intelligence)に注目が集まっている。BI自体はかなり古くからあるITソリューションだが、さまざまな形で進化を続けている。各社からは、BIのためのさまざまなツールやサービスが提供されており、すでに多くの企業でデータウェアハウスやレポーティングシステムなど、なんらかの形でBIツールを活用しているであろう。
ところで、企業のBIに対するニーズが、最近二極化してきたと感じられる。1つが「見た目のきれいさを求める」方向性。これは、きれいに見えさえすればいいので、BIシステムの本質的な機能や性能はあまり重視しない。そのため、十分な性能が発揮できなかったり、変化に柔軟に追随できないなどの弊害が出ることもある。
もう1つのニーズが、BIツールに豊富な機能を求めるものだ。BIツールはすでに提供開始から長い年月を経ているものも多く、それらはバージョンアップを重ね豊富な機能を持つ。多くのユーザーは、機能が豊富なものが「いいツール」だと判断してしまい、とにかく高機能なツールを求める傾向がある。もちろん、そのツールに対する知識とスキルがあり、十分に使いこなせれば問題はない。しかしながら、実際にはそう簡単には使いこなせないのが実情だ。
たとえば、ある豊富な機能を持つBIツールを利用していた顧客は、見栄えの良いグラフなどを提供するBI環境を構築し活用していた。当初はよかったが、自社ビジネスの変化に合わせ分析やレポートの画面を作り直そうとした。しかし、機能が豊富すぎて使いこなせず、変更には多大なコストと手間がかかってしまったのだ。あまりにも機能が豊富すぎれば複雑になり、間違った使い方をしてしまうこともある。そのため、間違ったデータを経営判断に利用していたという話さえ耳にすることがある。