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週刊DBオンライン 谷川耕一

たった3ラックでフルスペックのOCIサービス実現へ「Dedicated Region 25」投入

「Oracle CloudWorld 2024」現地レポート

 OracleはOracle CloudWorld 2024の開催にあわせて、米国時間の2024年9月11日に業界初となるゼタスケールのクラウド・コンピューティング・クラスタを発表した。これは、最大13万1072基のNVIDIA GPUを搭載できる、極めて規模の大きいAIスーパーコンピューターであり、大規模なAIの構築・トレーニング・推論などを支援するものとなる。既にOracleは、大規模なGPUクラスタのインフラを動かすために、新たなデータセンターの建設計画も明らかにしている。

「生成AI」の計算需要は、まだまだ増える

 Oracle CloudWorldの「Oracleのビジョンと戦略」と題した基調講演で、Oracle 会長 兼 CTOのラリー・エリソン氏は、「世界で最も大きなデータセンターをつくりました」と述べていた。このOracle Cloud Infrastructure(OCI)のデータセンターは、大規模なGPUクラスタであるOCI Superclusterが消費する大量の電力を賄うため、800メガワットの電力供給に対応するものだ。CloudWorldの開催前に実施された第1四半期の決算発表では、今後建設する大規模データセンターで必要な1,000メガワットクラスの電力需要に対応するためにも原子力発電の利用を検討しており、既に発電所の建設認可を得ている企業との連携予定があることも触れられた。

 OCI Superclusterは、最大でスーパーコンピューター「Frontier」の3倍以上、他のハイパースケーラーに対して6倍以上ものGPU数を提供する。OCI Computeベアメタル・インスタンス、超低レイテンシーのRoCEv2、選択肢としてHPCストレージも利用可能だ。

 このような“極めて”大規模なGPUクラスタを動かすクラウドデータセンターに、Oracleが大きな投資を約束するのは、生成AIのLLM構築や推論のために、膨大な計算リソースの市場ニーズが将来的に継続すると予想してのことだ。

 OpenAIをはじめとする汎用大規模LLMのプレーヤーは、IT市場で一気に増えた。とはいえ、市場の変化は速く、ガートナーの生成AIに関するハイプサイクルでは、過度な期待のピーク期がそろそろ終わり、幻滅期に入りつつあるとの見解も発表されている。急激に増えたプレーヤーの動向は今後落ち着き、むしろ淘汰されそうだ。もちろん、生き残るのは極めて強力なプレーヤーであり、彼らが要求する計算リソースは極めて大きい。仮にプレーヤ数が減ったとしても競争は激しくなり、リソースが足りなくなると予測できる。

 さらに今後は、用途別や業界別など、専門領域・分野に特化したLLMの構築も盛んになるだろう。多くの企業がビジネスに貢献するAIを獲得しようとすれば、GPUのリソース不足はまだまだ続く。その需要に応えるための投資も続いていくため、OracleはNVIDIAと協力して対応に乗り出している。この動きは株式市場でも評価され、第1四半期の決算発表後にOracleの株価は11%と大きく上昇した。

 こうした大規模なクラウドデータセンターをつくる一方で、必要な電力が100キロワット程度の小規模データセンターも提供する。これは主にプライベートクラウドの要望に応えるもので「極めて経済的です」とエリソン氏。パブリッククラウドの大規模なデータセンターでも小規模なプライベートクラウドでも、あるいは国や地域に閉じた形で運用できるソブリンクラウドでも、それらの上で動かすOracle Fusion Cloud Applicationsやデータベースの各サービスなどは、すべて同じものが動くこととなる。

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たった3ラックで“OCIのすべて”を利用可能な「Dedicated Region 25」

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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